違法漫画サイトがなくならない! 上位10サイトで月4億回・コロナ前の6倍 「どうする?」を聞く

  1. オリジナル記事

◆違法サイトの拠点はベトナムなど海外 日本法及ばず

 ――どうして、違法漫画サイトはなくならないのでしょうか。

 違法漫画サイトはいま、海外で運営されているケースが多いです。いま問題となっているのはベトナムです。相手が海外の場合、著作権法などの日本の国内法は効きません。ですから、外国の捜査機関にお願いするか、外国の裁判所に開示請求をして、運営元を突き止めて、警告し停止に追い込むしかありません。費用も何百万円、時間も1〜2年以上かかる場合もあります。
 正直、手間もかかるしお金もかかる。けれども、漫画を買ってくれる人が「お金払って漫画を買うのは馬鹿らしい。海賊版サイトでいいじゃん」と思わないように、私たち出版社は諦めてはだめなんです。

 ――いまABJとして取り組んでいる違法サイト対策を教えてください。

 刑事告訴や裁判所への提起は、個社の役割です。一方、ABJでは、出版社や著者、電子書店、通信事業者と連携して個社ではできない海賊版対策を続けています。その一つが海賊版サイトのリスト化です。現在までに400サイトほどをきちんと証拠収集した上でリスト化できました。それを会員の出版社や関連団体、関連事業者に提供しています。サイト削除要請やフィルタリングによるアクセスの抑止、ネット広告の出稿停止などに活用してもらうためです。
 違法漫画サイトの利用ユーザー向けには、閲覧をやめてもらう取り組みをしています。例えば、過去に違法漫画サイトを検索したことがあるユーザーには、TwitterやYouTubeを利用しているときに啓発バナー広告が表示される取り組みも実施しました。そのバナー広告は24種類。「鬼滅の刃」や「キングダム」、「七つの大罪」といった人気作品のキャラクターが、違法漫画サイトの利用防止を訴える内容です。かなりインパクトがあると思うのですが……。

 

表示されるバナー広告。左から鬼滅の刃(集英社)キングダム(集英社)、(写真:「STOP!海賊版」#きみを犯罪者にしたくない公式HPより)

 

 でも、どうなんでしょうか。中学校や高校を訪問し、「絶対に違法サイトを使わないでね」と話すと「わかった!」と返ってきます。バナー広告も1億以上のインプレッションがありますし、多くの人に呼びかけはできていると思います。しかし、そのような取り組みを実施していても、海賊版サイトへのアクセス数は4億回になってしまいました。戦いは非常に厳しいですが、長期的な戦いは覚悟の上で、2022年も違法漫画サイト撲滅や利用抑止に取り組んでいきます。

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板垣聡旨
 

記者。

三重県出身。ミレニアル世代が抱える社会問題をテーマに取材を行っている。

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