調査報道グループ「フロントラインプレス」はかねてより、毎日新聞の統合デジタル取材センターと合同で取材チームをつくり、独自取材を進めてきました。その成果が2020年3月18日の毎日新聞朝刊(東京本社版)に掲載されましたので、お知らせします。
記事は2本で、1面の「ニュースアプリ大手グノシー 虚偽広告を配信 口コミ・写真」、および26面(社会面)の「物語作り画像つぎはぎ グノシー虚偽広告 バイト男性『心苦しかった』」です。WEB版の「毎日新聞ニュースサイト」では、朝刊紙面よりひと足早く、3月17日夜に以下の記事が配信されています。
●架空の口コミ、女性の写真借用… グノシー子会社が虚偽広告制作 社内ガイドラインに抵触
●「まずいのでは」と上司に言ったが…虚偽広告の実態 元ライターが証言
フロントラインプレスと毎日新聞の合同取材チームは昨年秋に発足しました。双方からそれぞれ、デジタル問題に詳しい記者や調査取材に長じた記者らが参加。互いの長所を生かしながら、日々の取材や情報の整理、執筆などに当たっています。取材で得た証言や資料なども共有しつつ、取材チーム内の信頼も醸成してきました。
日本の新聞社は旧来、新聞社同士の連携など一部の事例を除き、外部の取材組織との間で「イコール・パートナー」となって活動する経験を持ちませんでした。まして、取材段階から共に歩み、記事を共同で制作し、それを新聞本紙に掲載するということは、かつてなかったことです。その意味でも「フロントラインプレス」は毎日新聞の決断に深い敬意を抱いています。同時に、ささやかではありますが、今回の試みは日本のジャーナリズムの新たな一歩になるだろうと考えています。
デジタル環境が激変する中、メディアやジャーナリズムの世界は激しい変化が続き、新たな試みも随所で起きています。そうしたなか、調査報道を活動の主軸に掲げる「フロントラインプレス」は良質な取材記事の提供にさらに邁進し、新聞やテレビも含む各メディアとの協働も引き続き模索していきます。
<追記>
本件に関する毎日新聞との合同取材はその後も続き、グノシー社は2020年10月までに事実関係を認めました。関連記事はWEB版を合わせて10本ほどに達しました。