「山谷・寿町」日雇い者が瀕するコロナ禍の憂鬱 感染者報告ないが、わずかな仕事さらに乏しく

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「山谷・寿町」日雇い者が瀕するコロナ禍の憂鬱 感染者報告ないが、わずかな仕事さらに乏しく(2020・5・2 東洋経済オンライン)

 「ドヤ」とは宿(ヤド)の逆さ読みで、簡易宿泊所の俗称だ。日雇い労働者向けの宿泊所が集まるドヤのマチといえば、関東では東京の山谷地区と横浜・寿町が知られている。そこで暮らす住人や周辺のホームレスの人たちは、新型コロナウイルスの感染拡大が続く今、どう過ごしているのだろうか。コロナ禍のしわ寄せは、社会的立場の弱い人たちにより深く及んではいないか。感染者の出ていない「ドヤのマチ」に足を運んだ。

炊き出しに並ぶ人たち。横浜・寿町(撮影:本間誠也)

◆コロナで変わる「ドヤのマチ」

 4月下旬ともなれば、山谷の朝は早い。

 ドヤの住人たちは三畳一間の居室から起き出し、山谷の中心部ともいえる「城北労働・福祉センター」周辺や自分のドヤの玄関先などで顔見知りと立ち話を始める。午前5時半、同センター正面の路上にいる人は30人前後。誰とも会話せず、1人で立っている人も少なくない。

 ホームレスの人たちも同じころ、玉姫公園などに設けたブルーシート小屋や段ボールハウスを出た。近くのブロックやアスファルトに腰を下ろしたり、タバコをふかしたり。回収してきたアルミ缶をビニール袋に詰めている人もいる。公園横の路上では、5、6人の業者がシートを敷き、古着や古雑誌、中古の腕時計などを並べて露天市を開いている。

 一方、玉姫公園から約200メートル離れた「ハローワーク上野 玉姫労働出張所」前には人影すらなかった。シャッターが開く6時40分が迫っても、この日は筆者しかいない。3月までなら、ホームレスの人や生活保護の受給者たちが順番待ちの列を作り、工事現場に労働者を運ぶマイクロバスも連なって停車していた。

 状況は、新型コロナの感染拡大によって一変した。

 山谷の日雇い労働者を対象にした東京都の「特別就労対策事業」が4月8日から、コロナの影響で止まってしまったのである。通称「輪番」と呼ばれるこの事業は、都の公共事業だ。公園や霊園の草むしり、ゴミ拾い、道路清掃などを輪番制で紹介し、日払いで7500円前後になる。民間の求人がほとんどないなか、月に2、3度、回ってくる「輪番」の仕事を唯一の収入源とする路上生活者は少なくない。

◆「2000円くらい払ってくれたっていいじゃねえか」

 「城北労働・福祉センター」付近を根城にする70代のホームレスの男性もその1人。グレーのダウンコート、数日前の新聞紙や衣服などを詰め込んだビニール製の大きなバッグ。前夜はブルーシートにくるまって寒さをしのいだという。

 「コロナで『輪番』を止めるなら、その分で2000円くらい俺らに払ってくれたっていいじゃねぇか。何も7000円くれと言ってるわけじゃねぇ。ひでぇもんだ」
路上生活者を支援する山谷労働者福祉会館活動委員会の向井宏一郎さんは「ただでさえ減り続ける『輪番』の中止は、ホームレスにとって文字通り死活問題です」と憤る。

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 この記事は<「山谷・寿町」日雇い者が瀕するコロナ禍の憂鬱 感染者報告ないが、わずかな仕事さらに乏しく>の冒頭部分です。2020年5月2日、東洋経済オンライン上で公開しました。
東京・山谷、横浜・寿町というドヤの街の住人たちに、コロナ禍はどのような影を落としているのか。社会的に弱い立場の人の暮らしにより深く影響は出てはいまいか。フロントラインプレスの本間誠也さんはそうした問題意識から取材を始めました。

 記事の全文は同サイトで読むことができます。以下のリンクからアクセスしてください。
「山谷・寿町」日雇い者が瀕するコロナ禍の憂鬱 感染者報告ないが、わずかな仕事さらに乏しく

本間誠也
 

ジャーナリスト、フリー記者。

新潟県生まれ。北海道新聞記者を経て、フリー記者に。

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