行政への不当な要求「応じた」18件/茨城県小美玉市に限った話か

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 地方の出来事ながら、見過ごせないニュースがあった。舞台は、茨城県の霞ヶ浦の北に位置する小美玉(おみたま)市である。

 2021年5月、小美玉市の元総務部長(62)が市管理の土地に関する非公開の内部情報を土木会社に提供し、その見返りとして海外旅行代金を肩代わりしてもらったという贈収賄事件があった。再発防止を目的として、市は不正事案検証等委員会を設置していたが、このほど公表された最終報告書に驚きの内容が含まれていたのである。

 報告書や各メディアの報道によると、外部から不当な要求を受けたことがあると答えた職員は全体の12%に達した。10人に1人の割合だ。そのうち、「利害関係者からの不当な要求に応じた」ケースは18件確認されたという。また、不当な要求は「業者から」が19件、「職員又は元職員から」が15件を数えた。

 不正事案検証等委員会の調査では、市職員から「法令を守ろうとしても管理職が指示するので逆らえない」といった訴えもあった。公益通報者保護法が施行されたのは2006年4月。それ以来、すでに15年が経過した。小美玉市も「内部通報の処理に関する要綱」を定めている。しかし、「不正を内部通報したら報復されるかもしれない」という意識が組織内に広がっていれば、内部の自浄作用は働かない。元総務部長から不当な指示を受けた部下も、そうしたことを恐れ、どこにも相談できなかったのかもしれない。そして恐らく、「不当要求」をめぐる実態は多くの自治体で水面下に隠れている。

 なお、行政に対する不当な要求をめぐる出来事としては、鹿沼市職員殺害事件も知られている。

「不当な要求受け入れ」18件確認 茨城・小美玉市贈収賄巡り検証委(毎日新聞 2021年12月23日)
茨城・小美玉市贈収賄 元部長らに有罪判決 水戸地裁「根深い癒着」(茨城新聞クロスアイ 2021年12月1日)
鹿沼市職員はなぜ殺されたのか?(フロントラインプレス 2021年12月6日)

 
   
 

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