京都府警内で不正経理発覚 警察とカネの関係は完全浄化されるのか?

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 京都府警本部の警備2課に所属していた30~50代の男性警察官6人が架空の交通費を申告して捜査費をだまし取ったとして、6人全員が詐欺容疑で書類送検され、懲戒処分を受けた。このニュースは1月27日の京都府警による発表に合わせて各メディアが一斉に報じたが、もともとはMBS毎日放送(大阪)によるスクープ記事が発端だった。

 各メディアの報道によると、6人は2015年4月〜20年12月、交通機関の乗車区間を水増しするなどして「捜査諸雑費」を1人当たり数百円から千数百円だまし取った疑い。捜査諸雑費はあらかじめ捜査員に支給され、実際に捜査で使用した経費を後に精算する。府警の発表では、6人は書類送検容疑以外にも不正受給を繰り返しており、総額は45万7千円に上る。「私的な飲食費に使った」「小遣いの足しにした」などと供述しており、詐取分はすでに国庫に返納させたという。最も多額の19万円を不正受給した50代の警部補は懲戒免職処分に、残る5人は停職6月などの処分を受けた。

 捜査諸雑費の横領は今回の京都府警に限らず、時々発覚している。2020年7月には、警視庁捜査1課特殊犯捜査係の警部補(44)が、捜査諸雑費を約13万円詐欺したとして詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで書類送検され、懲戒免職に。2019年9月には福岡県警で、同年4月には宮崎県警でも同様の事案が発覚している。

 警察の捜査費費をめぐっては、日本警察に暗い歴史がある。

 2003年に北海道警察で組織的裏金づくりが発覚し、利息も含めて10億円近くを返納する事態に追い込まれた。これを皮切りに、全国で警察の不正経理問題が浮上。警察に対する信頼が大きく損なわれた。さらにそれより前には、数々の不祥事を受けて設置された「警察刷新会議」において、座長代理を務めた樋口廣太郎・アサヒビール名誉会長(当時、故人)が「二重帳簿」という語句を使って裏金問題に言及したこともある。今回問題になった「捜査諸雑費」は、そうした流れの中で、経理の透明化と現場捜査員の使いやすさを目的として導入されたものだった。

 京都府警などで発覚した事案はいずれも大きな金額ではなかったが、制度をいくら整えても悪用を意図する警察官がいる限り、警察の不正経理は根絶されないことを示している。

■関連
『【独自】余った捜査費数千円を返金せず…警察官6人を詐欺容疑で書類送検へ 京都府警』(MBS毎日報道 YouTube公式チャンネル 2022年1月26日)
『「警察の裏金」暴露した男が語る内部告発の苦悩 顔出し・実名の記者会見から17年経た今の思い』(フロントラインプレス 2021年2月15日)
現代新書『警察捜査の正体』(原田宏二著)

 
   
 

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