◆1億円超の選挙買収疑惑に関する国会質疑
自民党京都府連が国政選挙の際に1億円超の選挙買収に手を染めていたのではないかという疑惑に関連し、2月10日の衆院予算委員会で、府連会長の経験者である二之湯智・国家公安委員長が答弁に立った。それを報じたsmart FLASHは『「カネは配ったけど買収じゃない」国家公安委員長の言いぶんにSNS呆れ果て「国が腐っていく」「正義感あるのか」』という記事の中で、その模様を次のように伝えている。
二之湯氏は「府連が国会議員から寄付を受け、府議と市議に政治活動資金として配布したのは事実だ」と答えた。そのうえで、「あくまで政党の党勢拡大に使ってくださいという趣旨で、個々の議員の選挙活動に使ってくださいということではない」とし、買収の意図は否定。先の内部文書については「知らない」という。
国家公安委員会は警察庁を管理しており、二之湯氏はその “元締め” だ。それだけに、この答弁に対し、SNSでは怒りの声はもちろん、呆れ果てたとの声があふれた。
では、実際の質疑はどんな内容だったのか。自民党京都府連の“巨額選挙買収疑惑”“マネーロンダリング疑惑”に関して何が語られたのか。国会議事録(未提稿、速報版)から、当該部分をお伝えしよう。
◆月刊文藝春秋の報道にもとづき府連会長だった二之湯氏をただす
■城井崇委員(立憲民主党)
本日発売の文藝春秋の2022年2月号では、自民党が1億円選挙 収を行っていたと報じられ、元自民党職員や元自民党国会議員の証言も紹介されています。余りのことで、にわかには信じ難いと感じています。内部文書として引継書まであると報じられていますが、こうした類いのものは、まず、本物か偽物かを確認する必 があります。報道が事実であれば、組織ぐるみの選挙買収ということになります。
ここでは、報じられた自民党京都府連に所属する二之湯大臣の政治資金並びに自民党京都府連にわる国会議員、自治体議員の政治資金に関わる報道について、念のため事実関係の詳細を二之湯大臣に伺いたいと思います。
今回の報道の内容は本当にえげつないです。自民党京都府連元職員の証言として、
『国政選挙が行われるたびに、京都府連は「引継書」に記載されているような買収と隠ぺい工作に手を染めてきました。衆院選・参院選の候補者が用意したお金を府連が一度預かり、その後、府連が府議と市議に渡す形をとります。一人につき五〇万円という金額も間違いありません。府連を通じた「マネーロンダリング」は、京都府連特有の隠ぺい工作であり、こうした狡猾な仕組みが全国に広がってはいけないと考え、取材を受けることにしました』
と、文藝春秋2022年3月号で報じられています。
つまり、国政選挙時に自民党国会議員が自民党京都府連経由で自治体議員に選挙買収になると分かっていてお金を配ったと報じられています。
二之湯大臣、これは事実ですか。
■二之湯智・国務大臣(国家公安委員長)
今、委員、私の政治資金に関しまして御質問ございましたけれども、私は自分の政治資金は法に即して適正に処理しておりますし、その概要は私の政治資金収支報告書をご覧いただければ納得いただけると思います。
ただ、後段の、自由民主党京都府連のことに関しましては、私も報道で昨日知ったわけでございます。
自由民主党京都府連が国会議員から政治資金を、寄附を受けて、各府会議員、京都市会議員にそれを再度、政治活動資金として配付しているという事実は、そのとおりでございます。
◆金を配ったのは事実だが、「そういう認識(選挙買収)ではない」
■城井委員
配っているのはそのとおりということでございました。
では、今ほどの二之湯大臣の御本人の部分についても前段で触れていただきましたが、平成28年の、御自身が、二之湯大臣が立候補された参議院選挙に当たって、自民党京都府連経由で自治体議員にお金を配りましたか。
■二之湯国務大臣
それは、私の政治資金収支報告書にも、そのようなことが記されております。これは、あくまでも、私どもは、政党の党勢拡大に使ってください、こういう趣旨でございまして、個々の議員の選挙活動に使ってください、こういうことではない、こういう認識でございます。
■城井委員
今、二之湯大臣が配っていたというふうに答弁いただいた、その平成28年のお金については、政治資金収支報告書を私も確認をいたしまして、恐らくこれのことかと思いますが、平成28年の参議院選挙、これは7月でしたが、その前、平成28年4月27日付の、自民党京都府連に、二之湯大臣が代表者を務める自由民主党京都府参議院選挙区第3支部から960万円の交付金を支出している、このことを指しているということでよろしいですか。
■二之湯国務大臣
委員、日付はいつでございましたか。 (城井委員「4月27日」と発話する)4月でしたね、まず、そういうことですね。自由民主党の政党活動は、国会議員だけじゃなくて、党所属の地方議員も含めて、党勢拡大に一生懸命努力している、こういうことでございますから、そのとおりですね。
■城井委員
使い道は党勢拡大ということでしたが、ただ、参議院選挙の直前の時期の支出であるという点は指摘しておきたいと思います。その上で、大臣、この支出、京都府連への交付金支出は、この960万円という規模、毎年の支出ですか。
■二之湯国務大臣
毎年ではございません。
◆選挙のある年に資金提供は突出
■城井委員
大臣、今御答弁いただきましたように、実は、この前後の年は、京都府連への交付金支出は、平成27年は260万円、平成29年はゼロ円でした。ですので、この平成28年の960万円は明らかに突出した支出だという点を御指摘申し上げたいと思います。では、なぜこの年だけこんなに支出をされたのか。大臣、理由をお願いします。
■二之湯国務大臣
今申しましたように、選挙というのは、もちろん個人の選挙もございますけれども、党全体で取り組まなければならない。そして、私らも、国会議員も、党本 の方から党勢拡大のためにいろいろな政党交付金を交付されておるわけでございます。そのお金を、共に同志である地方議員にも配付して、そしてお互い自由民主党のために頑張ろう、こういうことでございますから、そうなっておるわけでございます。
■城井委員
なぜ御本人の、二之湯大臣の立候補される参議院選挙の前だけこんなに 額が多かったかというのが、今の御説明だと分からないんです。毎年協力をしているということならば、理由になるかもしれない。この直前に、李下に冠を正さずという言葉もあります、この選挙の直前に960万円、この理由が何かというのが今の御説明だと分からないんですが、もう一度お願いしていいですか。
■二之湯国務大臣
参議院選挙は毎回7月ですね、行われるのは。それは4月ということですね。そんな直前ではないと私は思っております。そういう認識の違いがあるわけでございます。私としましては、これを京都府連が適切に法に照らして処理しているということで、私はそのお金の使い道については知らない、こういうことでございます。
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