拷問、虐殺、女性暴行…暴力による“恐怖支配”広がる 軍事クーデター1年のミャンマー

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◆一般人を集団虐殺 男性40人が犠牲に

 ミャンマーの軍事クーデターから2月1日で丸1年が過ぎた。国連の安全保障理事会は1年を経過したことに伴って、声明を発表し、今も軍による非常事態宣言が続いていることを憂慮。「医療施設や教育施設などへの攻撃を非難する」とし、暴力行為をすぐに根絶し、人々の安全を守るよう強く求めた。日本では、1年前のクーデター発生時に事態は大きく報道され、人々の関心も高まったが、その後はメディアの関心も薄らいでいる。

 では、現地ではどんな状況が続いているのか。軍事政権の強圧的な支配は続き、一般市民に対する暴虐な行為も一向に止んでいない。

ミャンマーの国旗

 

 英公共放送のBBCが昨年12月20日に伝えた調査報道『ミャンマー軍、村民らを拷問にかけ集団殺害』によると、ミャンマー軍は同7月、数カ所の村で一般人を集団殺害し、少なくとも40人の男性が犠牲になったという。軍兵士たちは村で住民たちを整列させ、男性を選んで殺害。その中には17歳ほどの若者もいた。当時の動画や写真からは、男性の多くは拷問を受けてから殺害され、浅い墓地に埋葬された様子がうかがえる。

◆ロープで縛り拷問、殴打、遺体は森の中へ

 集団殺害の規模が最も大きかったイン村では、男性14人が拷問や殴打を受けて死亡し、遺体は森の中のくぼみに投げ込まれた。殴打される際、男性たちはロープで縛られていたという。BBCは、目撃者の証言として「やめてほしいとお願いした。兵士たちは聞く耳を持たなかった。兵士たちは女の人たち向かって、『夫はこの中にいるか? いるなら最後の弔いをしてやれ』と言っていた」などとする声を伝えている。

 また、NNAがラジオ・フリー・アジア(RFA)などの報道として伝えたところによると、昨年12月7日、ミャンマー北西部で国軍兵士約50人がサリンジー郡区の村を襲撃し、拘束した住民11人の両手を後ろで縛り、うち数人を射殺した。さらに残る住民を小屋に閉じ込めて火を放ち、焼死に追い込んだという。

◆女性暴行も“恐怖支配の武器”に

 さらに西日本新聞が2月1日に公開した『ミャンマー軍の性暴力横行 恐怖で支配、妊娠中被害も 現地団体が証言』によると、現地では国軍兵士らによる女性への性的な暴力が続いている。治安維持を名目にして捜索中の民家や拘束施設などで被害が相次いでおり、恐怖心を植え付けて支配下に置く手段として性暴力が横行しているという。記事では、西部チン州の村で起きた出産直後の女性に対するレイプや、妊娠7カ月の女性に対する暴行などを報告。人権団体幹部の「クーデター後、市民への支配を強めるため、かつて軍政下で使った性暴力という『武器』を再び使い始めた」との言葉を紹介している。

 この先、ミャンマーはどうなるのか。クーデター後も同国の情勢を詳しく伝え続けているBBCは『ミャンマー軍事クーデターから1年 抵抗が流血の内戦へ』の中で、民主派が設立した民兵組織「国民防衛隊(PDF)」に多くの若者が参加する一方、国軍はPDF掃討作戦を展開し、高齢者を含めて多くの民間人を殺害していると報道した。PDFの反撃も激しさを増し、軍政に対する抵抗運動は内戦に発展する恐れがあるとしている。

BBC日本語版のページ

■関連
『ミャンマー軍、村民らを拷問にかけ集団殺害』(BBC、2021年12月20日)
『ミャンマー軍の性暴力横行 恐怖で支配、妊娠中被害も 現地団体が証言』(西日本新聞 2022年1月30日)

高田昌幸
 

ジャーナリスト、東京都市大学メディア情報学部教授(調査報道論)。

1960年生まれ。北海道新聞、高知新聞で記者を通算30年。北海道新聞時代の2004年、北海道警察の裏金問題取材で取材班代表として新聞協会賞、菊池寛賞、日本ジャーナリスト会議大賞などを受賞。

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