学校現場でも「非正規」急増 年収200万円に届かぬ先生たちのルポ

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◆任期最長1年の臨時教員、全国に4.4万人

 学級担任など「先生」として他の教員と同じ役割と仕事を任されながら、身分は「非正規」という臨時教員が増えている。「官製ワーキングプア」という言葉はすっかり定着してしまったが、学校現場もその傾向は同じ。激務で知られる教育現場で、年収200万円に届かない「先生」が走り回る。

 自治労の調べでは、2020年6月現在、全国の自治体職員のうち非正規は38.9%に達する。2016年調査比で6.2ポイントも増加。5人に2人は非正規であり、正規職員だけでは行政サービスは成立しない。学校現場はどうだろうか。文部科学省の2020年度調査では、任期が最長1年の臨時教員は全国に4.4万人を数え、教員定数の7.5%を占める。過去10年で3900人増える一方、正規職員は5700人減少した。非正規教員の増加の背景には、いびつな人員構成がある。1980年前後に採用された団塊ジュニア世代がここ10年ほどで定年退職ラッシュを迎えるが、経費を抑えるため、その穴埋めには非正規に頼らざるを得ないのだという。

◆教師14年目、月収は手取りで19万円

 日本経済新聞は1月22日、そうした不安定な雇用や臨時教員が増える背景を記事にした。『担任の先生は「非正規」/重い業務負担、手取りは19万円』というタイトルのルポだ。

  記事では、関東の小学校で働く男性(39)に取材。高校数学の教員免許を持つ男性は、正規採用を目指して過去5回試験を受けたが不合格だった。いま勤務する小学校には2018年から臨時教員として働き、昨年11月から1カ月間、病気で休んでいる正規教員に代わってクラス担任も務めた。責任が伴う重い業務の一方、翌年の契約継続がない場合、臨時教員は各自治体に空き枠を問い合わせて就職活動に取り組まなければならない。不安定な待遇に不安を募らせながら、授業研究と正規採用に目指して試験準備の日々に追われる。 

  九州地方の小学校で担任を務める臨時教員の女性(47)は、非正規として教壇に立って14年目で手取りは19万円。これまで正規教員が敬遠する問題の多いクラスなどの担任も任されてきた。解雇の不安から、断れないのだという。「賃金は正規の方が上なのに」との思いをかみ殺してきた。

イメージ(撮影:穐吉洋子)

◆学校図書室の司書、手取り15万円に届かず

 南日本新聞の『生徒にとって同じ「先生」 求められる仕事も同じ でも待遇に格差 同一労働同一賃金は幻か』も、非正規教員の厳しい実情を伝えている。

 県立高校で美術を教える非常勤講師の男性は、会計年度任用職員になって時給が300円近く下がった。新制度で報酬単価が3区分から一つに統一されたためだ。「事前に通知もなく、ショックだった」。月額で2万円減った仲間もいる。 「ボーナスで補てんされる」と聞いたが、男性は支給されなかった。任期や勤務時間数に条件があり、それを満たせなかったからだ。「教える喜びはあるが、講師の報酬だけでは厳しい」。アルバイトで生活費を補う。

 学校図書館の司書も非正規が急増。鹿児島県内63の高校のうち、34人は非正規の司書だ。

 ある女性司書は大学で資格を取り、勤続10年以上。パートタイムである以外は正規と同じ仕事だ。「どこが同一労働同一賃金なのか」とため息をつく。
 ボーナスは出るようになったが、日給制に変わり、月の手取りは15万円に届かない。「奨学金の返済と家賃で半分消える。普通は休みが多いとうれしいはずだが、給料が減るので悲しくなる」

 正規教員を雇用すればいいのだが、財政難の自治体がほとんどだ。そのため、臨時教員を「雇用の調整弁」にする流れがある。「任期が1年だと生徒の成長を十分に見守れず適切に指導できない」「生徒教員の双方に弊害がある」。これらの記事では、そんな途切れぬ声も紹介されている。

『担任の先生は「非正規」 重い業務負担、手取りは19万円』(日本経済新聞 2022年1月22日)
『生徒にとって同じ「先生」 求められる仕事も同じ でも待遇に格差 同一労働同一賃金は幻か』(南日本新聞 2021年11月21日)
『官製ワーキングプアの真実【上】「公務職場は非正規女性の“善意”でぎりぎり維持されている」』 (フロントラインプレス 2021年12月12日)

 
   
 

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