データ書き換え GDPにも影響か 国交省の統計不正で朝日新聞がスクープを連発中

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 国土交通省の「建設工事受注動態統計」をめぐるデータ書き換え不正で、いま、朝日新聞が調査報道スクープを連発している。GDP(国内総生産)の数値が大きく上乗せされる「二重計上」が行われていた問題だ。不正が始まった時期がアベノミクスの開始と重なっており、景気浮揚を政策の屋台骨に据えた安倍政権への忖度だったのではないか、との議論も呼んでいる。ほぼ独走とも言えるスクープは、どう展開されているのか。

 第一報は、2021年12月15日の朝刊1面だった。同日午前5時に公開されたデジタル版は以下の前文で始まっている。

国交省、基幹統計を無断書き換え 建設受注を二重計上、法違反の恐れ

 建設業の受注実態を表す国の基幹統計の調査で、国土交通省が建設業者から提出された受注実績のデータを無断で書き換えていたことがわかった。回収を担う都道府県に書き換えさせるなどし、公表した統計には同じ業者の受注実績を「二重計上」したものが含まれていた。建設業の受注状況が8年前から実態より過大になっており、統計法違反に当たる恐れがある。

 建設工事受注動態統計は、国の基幹統計の1つ。毎月1回公表され、2020年度は79兆円もの規模があった。政府の月例経済報告や中小企業支援策の策定などの際、基礎資料として使用されている。その数値が二重計上されていたのだから、大変な問題である。同じ日に公開された記事『書き換え手順、国が指示 県職員ら、消しゴム使い数字消す 基幹統計データ』によると、建設業者らがエンピツで書いてきた受注実績の数値を自治体担当者が消しゴムを使って書き換えていた。その方法も国土交通省が指示していたのだという。

 朝日新聞の調査報道はその後、どう展開されてきたのか。主な記事の見出しを拾っていこう(見出しは紙面版)。

▼二重計上「まさか」 自治体に戸惑い「不正と思わず」 「国に従うのが県の使命」 統計書き換え(12月16日)
▼国交省、自ら統計書き換え 検査院の指摘後 今春まで1年超(12月16日)
▼検査院指摘、書き換え量減らす 国交省、全て計上→2カ月分 不自然に見えぬよう調整か(12月17日)
▼「永年保存」したデータも書き換え後のもの 統計不正、検証は困難に(12月18日)
▼検査院、二重計上指摘せず 把握の上、国会報告なし 国交省書き換え(12月20日)

 データの書き換えは当初、国交省が自治体に指示する形だった。それを会計検査院に指摘されると、国交省の職員が自ら書き換えるようになった。指摘したほうの会計検査院も実態を国会に報告していなかった。なにやら、関係機関すべてが“グル”であったかのような図式が次々と明るみに出ている。こうした調査報道が重厚に続くと、紙版であれデジタル版であれ、新聞社の価値を思い出させてくれる。朝日新聞はこの問題で、二の矢、三の矢を放つことができるのか。その点も注目である。

 関連記事は朝日新聞デジタルで読むことができる(一部無料)。

■参考URL
『国交省、基幹統計を無断書き換え 建設受注を二重計上、法違反の恐れ』(朝日新聞デジタル、2021年12月15日)
国交省書き換え 統計の信頼再び傷つけた(西日本新聞社説)
建設受注統計 宮城県も書き換え 震災復旧工事も対象か〈宮城〉(仙台放送)

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