法務・検察行政刷新会議における議論の焦点(2020・8・19 東洋経済オンライン)
法務省はこの7月から「法務・検察行政刷新会議」を設け、議論をスタートさせた。日産事件のカルロス・ゴーン被告に対する取り調べ方法が国際的な批判を浴びたことに加え、黒川弘務・前東京高検検事長の賭けマージャン問題などが表面化し、国内外から厳しい批判を浴びたからだ。
では、“検察改革”の焦点とは何か。具体的な論点設定はこれからだが、委員からは、取り調べ時の弁護人の立ち会いの議論を求める意見も出た。実現すれば画期的なこのテーマを提起した委員の1人、後藤昭・青山学院大学名誉教授(刑事法学)に話を聞いた。
◆刷新会議とは何か
「刷新会議」は、森まさこ法相の私的諮問機関として設置され、これまで2回の会議を開催した。次回8月27日の会合では、論点の集約に向けて議論する見通しだ。委員は11人。法律の専門家ではない経済人も2人加わっている。
初回の会合で森法相は、刷新会議を設置した目的として、カルロス・ゴーン被告に対する日本の刑事司法のあり方への国際的な批判や、検察官の定年延長問題、検察庁法改正案をめぐって論議が沸き起こった点に言及し、「政府、検察庁、法務省に対する国民の信頼、期待は大きく損なわれた」と述べている。そのうえで、「国民の期待を担う令和時代の新しい法務・検察行政のあり方」についての議論を促した。
森法相が指示したテーマは、
検察官の倫理
法務行政の透明化
刑事手続きについて国際的な理解が得られるようにするための方策
の3点だ。ただ、11人の委員には民事系の法律家、それに法律の専門家ではない経営者らが入っていることなどから、マスコミ報道や一部委員からは、③について、「刑事法の専門家ではない委員が議論すべきではない」という意見も出ている。
被疑者の身体を長期間拘束し、親族らとの接見も大きく制限して“自白”を迫る捜査手法は「人質司法」と呼ばれ、長く国際的な批判を浴びてきた。取り調べで弁護士の同席を認めない手法も、そのシステムの中にある。
本当にこの問題を刷新会議のテーマにしなくていいのか。
委員の後藤昭氏(青山学院大学名誉教授・刑事法)は「大きな方向として、このままでいいのか、改善すべきなのかという議論は、できるはずだ」と話す。
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この記事は<取り調べ「弁護人立ち会い」認めない日本の問題 法務・検察行政刷新会議における議論の焦点>の前半部分です。2020年8月19日、東洋経済オンライン上で公開しました。
記事の全文は同サイトで読むことができます。以下のリンクからアクセスしてください。写真はサイトと異なっています。
取り調べ「弁護人立ち会い」認めない日本の問題 法務・検察行政刷新会議における議論の焦点
カルロス・ゴーン被告に対する取り調べ方法が国際的な批判を浴びたことなどから、法務・検察行政刷新会議の議論が2020年7月、スタートしました。焦点となるのは「取り調べ時の弁護士の立ち合い問題」です。
日本の刑事司法制度では、密室での取り調べが続き、その環境下での自白が重視されてきました。100日を超える勾留も珍しくありません。時には、威圧や強要、暴行などにより自白を迫られた被疑者もいます。これらは「人質司法」と呼ばれ、内外で長く問題とされてきました。
その改革が進むのか。フロントラインプレスの木野龍逸さんは大学教授ら3人の専門家にインタビューし、東洋経済オンラインで計3回の記事を公開しました。他の2本も同じように、同サイトで全文を読むことができます。下記のリンクからアクセスしてください。
日本の「人質司法」は一体何がどう問題なのか
郷原信郎「検察は神ではなく人は間違いを犯す」