47都道府県「知事会見」記者クラブ外への開放度 全国一斉調査で判明、マスコミの「聖域」の実相(2020・9・19 東洋経済オンライン)
安倍晋三・前首相の退陣に伴い、記者会見のあり方を問う声がじわりと広がっている。ネット中継によって重要な記者会見のQ&Aがリアルタイムで視聴できるようになったうえ、フリーランス記者などを排除する記者クラブの閉鎖性が、いっこうに改まらないからだ。ただ、中央を離れて地方に行くと、会見の様相も異なってくる。各都道府県知事の会見は、どの程度開かれているのか。全国調査で見えてきた実相とは――。
◆「参加可能」と言うけれど…
今回、主な調査対象としたのは、各都道府県で行われている知事の定例会見だ。開催頻度はたいてい、毎月1回。地元の有力地方紙やローカル放送局のほか、全国メディアの支局記者らが参加する。全国的には無名の、地方紙よりさらに小さい地域メディアの記者が定期的に参加している例も少なくない。
では、どのメディア企業にも所属していないフリーランス記者は、こうした会見に参加できるのだろうか。参加基準や参加できた場合の質問権などは、どうなっているのか。フロントラインプレスは今夏、各都道府県の広報部門に取材し、記者会見の「開かれ度」をチェックした。
質問内容は以下のように集約できる。
1) 都道府県政の会見にフリーランス記者は参加できるか
2) 参加に際し、記者クラブや行政との事前協議が必要な場合、その手続きなどはどんな内容か。参加できた場合、フリー記者は質問できるのか
3) 過去にフリー記者の参加を断ったケースはあるか
記者クラブではなく、行政側に回答を求めたのは、①記者クラブは回答に際し、全社から意見を聴くなどして時間がかかる可能性がある、②行政側は過去の経緯等について記録保持がしっかりしていると予想できる――などの理由からだ。各都道府県の回答は一覧表にまとめ、最終ページに掲載した。
「記者クラブの開放度」という点からすれば、最も肝心なポイントは「フリーの参加は可能かどうか」にある。
「原則、不可」「記者クラブ加盟社の記者のみ可能」としたのは、宮城、栃木、三重、香川、高知、大分の6県だった。回答では、「原則、参加不可。県と県政記者会との共催であり、原則、県政記者会所属の記者を対象としているため。フリーランス記者からの参加申請自体がない」(宮城県)、「毎⽉の知事定例記者会⾒は参加不可。2⽉の当初予算発表に関しては幹事社協議の上、参加は可能と思われるが、傍聴のみ」(栃木県)、「定例記者会見は県政記者クラブの主催のため、 加盟社以外の出席は認められていない。ただし、HPなどで内容を公開している」(大分県)といった内容だった。こうした「不可」の現状を見直す予定はないという県もある。
いちばん多かったのは「参加可能」という回答だ。ただし、「記者クラブ側の了解を得ること」を条件とする道府県がほとんど。一覧表の回答でもわかるように、「了解」のハードル越えはそう簡単でもなさそうだ。
◆「われわれはどうこう言える立場ではありません」
広島県の担当者は取材に対し、「われわれは記者クラブにどうこう言える立場ではありません。(会見などの運営は)基本的には記者クラブの判断に任せています」と話す。記者会見における行政と記者クラブの関係を彷彿とさせるコメントだ。
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この記事は<47都道府県「知事会見」記者クラブ外への開放度 全国一斉調査で判明、マスコミの「聖域」の実相>の前半部分です。2020年9月19日に東洋経済オンライン上で公開しました。
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47都道府県「知事会見」記者クラブ外への開放度 全国一斉調査で判明、マスコミの「聖域」の実相
日本の記者クラブ制度は「閉鎖的」「大手メディアの独占」と批判を受けて久しいものがあります。その閉鎖性は現在、いくぶんでも改善されているのでしょうか。
フロントラインプレスは「記者クラブや記者会見は幅広く開放されるべきだ」との考えから、各記者クラブの実態調査を続けています。この記事はその第1弾。47都道府県の知事会見を対象にして、フリーの記者に対する行政側の「開放度」をアンケートで検証しました。記事の末尾には回答一覧が付いています。
47都道府県「知事会見」記者クラブ外への開放度 全国一斉調査で判明、マスコミの「聖域」の実相
一方、行政側ではなく、47都道府県の記者クラブ側にも現状を尋ねました。いまの制度について、当の記者クラブ側がどう考えているか。そこに焦点を絞った検証記事です。47都道府県の記者クラブへのアンケート結果も掲載しています。東洋経済オンラインのサイトで全文を読むことができます。下記のリンクからアクセスしてください。
記者クラブの実態を網羅的に調査した記事は、実はさほど多くありません。その意味でも、これらの記事は貴重なものだとフロントラインプレスは考えています。