自衛隊「日報隠蔽」開示請求の過程で隠蔽を掴む

  1. 調査報道アーカイブズ

◆「公文書の扱い方あんまりだよ」のツイートが大拡散

 どう考えてもおかしい。

 強い疑問を持った布施氏は2016年12月10日、以下の内容をツイッターに投稿した。

 「今年7月に南スーダンのジュバで大規模戦闘が勃発した時の自衛隊の状況を知りたくて、当時の業務日誌を情報公開請求したら、すでに廃棄したから不存在だって…。まだ半年も経っていないのに。これ、公文書の扱い方あんまりだよ。検証できないじゃん」

 ツイートには、防衛大臣名での非開示決定通知書の写真も載せた。ツイートは投稿直後から急速に拡散され、報道機関からの問い合わせも殺到。布施氏の情報開示をめぐる事実関係をベースにして、神奈川新聞は1面で「戦闘発生時の日報廃棄 南スーダンのPKO陸自 3カ月未満で」と報じ、東京新聞・中日新聞も1面トップで大々的に報道した。さらに、共同通信、毎日新聞、NHKなども続いた。

(防衛省のHPから)

 このとき、衆院議員の河野太郎氏は神奈川新聞の取材に答え、「日報は明らかに重要な『公文書』であって短期間に廃棄していいようなものではない」「南スーダンへのPKO派遣では駆け付け警護という新たな武器使用任務が付与されている。日報の廃棄はあらぬ疑いをかけられかねない」と指摘している。

 その後、日報の存否が再調査されることになり、12月末、統合幕僚監部に電子データとして残っていることが判明した。翌年1月からの通常国会では、組織的な隠蔽だった疑いがあることに加え、文民統制を揺るがしかねないとの見地から野党が追及。特別監察の結果、陸自が日報を意図的に開示せず、組織的な隠蔽を図ったと認定した。公表された日報には、政府が再三否定してきた「戦闘」という言葉が頻繁に使われていた。

 さらに、日報の隠蔽は自衛隊イラク派遣でも表面化した。

 一件の開示請求をきっかけに、情報公開法や公文書管理法の理念をないがしろにする防衛省の隠ぺい体質に迫った取材。布施氏の仕事は、朝日新聞の三浦英之記者との共著「日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか」(集英社)という1冊になり、「第18回石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」も受賞した。

 

■参考URL
Twitter 布施祐仁 YujinFuse(@yujinfuse)「公文書の扱い方あんまりだよ」
「正しい情報が必要だ」布施祐仁さん 連載企画「憲法 マイストーリー」第5回(47NEWS)
第18回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」贈呈式 受賞者挨拶 ―布施祐仁氏(早稲田大学)
単行本「日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか」(著:布施祐仁、三浦英之/出版:集英社)
南スーダン日報問題から「戦争と報道」を考える(ニュース&トピックス)
「イラク『日報』問題 深まる疑惑」(時論公論) (NHK)
「統合幕僚監部等によるイラク『日報』に係る大臣報 告の経緯について」、「陸上自衛隊国際活動教育隊にお ける『日報』を巡る経緯について」、「航空自衛隊にお けるイラク『日報』を巡る経緯について」に関する調 査報告書(防衛省)

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本間誠也
 

ジャーナリスト、フリー記者。

新潟県生まれ。北海道新聞記者を経て、フリー記者に。

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