国会は「国権の最高機関」(憲法41条)であり、選挙は極めて公的な活動だ。ところが、選挙運動では、資金を余らせるケースが相当数ある一方で、余剰金の使途は公選法に規定されていない。そのため、公金も含んだ選挙費用は残金になった途端、私的な性格を帯びてしまい、候補者自身の政治団体に戻し入れない限り、何に使ったか分からない状態になってしまう。この実態をどうすればいいのか。
政治とカネに詳しい日本大学大学院講師の岩井奉信氏(政治学)は次のように指摘する。
「余剰金を政党支部などに戻していない政治家は、『適正に処理』というあいまいな言葉を使って逃げるしかないでしょう。本当に政治活動に使ったのなら(自らの政党支部などの)政治資金収支報告書に収入として余剰金の返却を記さないといけない。でも、それをしていない以上、政治資金規正法違反(不記載)です。一方、余剰金を仮に私的流用していたとしたら課税対象になります。ですから、それを公には口にできないでしょう」
岩井奉信氏(撮影:穐吉洋子)
さらに岩井氏はこう言及した。
「公金が含まれる余剰金の処理は、理屈の上でも道義的にも明確にしなければなりません。余剰金の問題は公選法の大きな欠陥だと思います。余剰資金についての処理を法で定めていないから、使途不明金や裏金作りの温床になりかねない。処理や報告のあり方について、まずは、公選法で何らかの規定を設けるべきでしょう」
※この記事には関連の続報を予定しています。
■参考記事
選挙運動の余剰金を追う
選挙運動余剰金 議員個別の詳細ビジュアルデータ(東洋経済オンライン+フロントラインプレス、協力・スローニュース)
※公開後の記事編集情報:10月18日午前8時04分、本文の一部表記を修正しました。わかりやすさの観点から。原稿の趣旨には影響を与えません。
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