総裁選に立候補の小林鷹之氏を刑事告発 政治資金規正法違反で/企業側、法規定の上限を上回る寄付/上脇博之教授「議員は違法性を認識していたはず」

  1. オリジナル記事

◆小林鷹之氏に加え、豊田俊郎・参議院議員(千葉選挙区)も同じ容疑で告発

自民党総裁選挙に立候補している前経済安保大臣の小林鷹之衆院議員(千葉2区)が代表を務める政党支部「自由民主党千葉県第2選挙区支部」が、2021年に千葉県八千代市の製氷会社(資本金9800万円)から法の上限を超える違法な寄付を受け取っていたとして、この政党支部と代表者の小林氏、および同支部の会計責任者、事務担当者の計4者が9月24日までに政治資金規正法違反(量的制限等に違反する寄附の受領の禁止)で千葉地検に刑事告発された。

豊田俊郎参院議員(千葉県)が代表を務める政党支部「自由民主党千葉県参議院選挙区第6支部」も、この製氷会社から同様の違法寄付を受け取っていたとして、この政党支部と代表者の豊田氏、および同支部の会計責任者と事務担当者も千葉地検に刑事告発された。

◆企業側、政治資金規正法の上限を上回る違法寄付

政治資金規正法では、資本金10億円未満の会社は1年間に750万円までしか政治団体に寄付できないと定められている。

告発状によると、製氷会社は2021年に小林氏の「第2支部」に毎月20万円を寄付。さらに小林氏が立候補して当選した衆院選直後の11月には、月々の寄付とは別に300万円を寄付していた。これらの合計は540万円だった。一方、豊田氏の「第6支部」には毎月30万円ずつ、1年間で計360万円を寄付していた。この結果、2つの政党支部に対する寄付の合計は900万円となり、政治資金規正法が定めた上限を上回っている。

小林鷹之氏のHPから

 

小林氏はこの違法寄付を受けた2021年の衆院選で、「第2支部」が小林氏自身の選挙事務所として無償提供した際、賃料分を陣営への寄付として記載していなかったことが発覚し、この8月下旬に収支報告書を訂正したばかりだった。

小林氏は大蔵省(現財務省)に入省後、埋財局総務課課長補佐、在米大使館二等書記官などを経て、2012年に千葉2区から立候補して初当選。第1次岸田内閣で内閣府特命担当相(科学技術政策・宇宙政策担当)として初入閣。第2次岸田内閣では経済安保担当相となった。また、前回2021年の自民党総裁選では高市早苗氏の推薦人に名を連ね、今回の総裁選では自ら立候補している。

◆違法献金の企業は豊田氏の地元の企業

参院議員の豊田氏は2003年に千葉県県議会議員に初当選した。2008年には八千代市長に当選。3期目の任期途中で辞職し、国政へ。2013年に参院選挙で当選し、現在2期目。

豊田氏らに寄付をしていた製氷会社は、豊田氏の地元・千葉県八千代市に本社を置いている。また、この会社は東京五輪の選手村の「氷の製造、配送の業務委託」を約2億円で落札していた。

豊田俊郎氏。自身のHPから

◆告発した上脇博之教授のコメントは?

これらの違法寄付の問題は「しんぶん赤旗日曜版」が9月15日号で報道し、明るみになった。小林氏や豊田氏らを刑事告発した神戸学院大学の上脇博之教授は、すでに製氷会社の告発を終えている。

上脇教授は次のように説明した。

「製氷会社が2021年に違法寄付をしていたことは明らかであり、製氷会社はすぐに刑事告発した。一方、議員側の両政党支部にとって製氷会社の寄付は最大の企業献金。両議員は製氷会社と親しい関係にあることもわかった。その他の事情からも違法寄付を受けたことを認識していたのは間違いないと言えるため、両議員側も刑事告発した」

鈴木祐太
 

ジャーナリスト。

地方の理系大学に在学中から、被差別部落・ベトナム難民などの在日外国人の子どもたちへの支援に関わる。

小学校臨時教員、派遣社員などを経て、ネットを中心としたメディアに関わり、「政治とカネ」「子どもの貧困」などの社会問題を中心に記事を発表してい...

 
 
   
 

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