政治団体「都議会自由民主党」(都議会自民党)が政治資金パーティーの収入など約3500万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、経理担当職員がことし1月下旬、政治資金規正法違反罪(虚偽記載)により東京簡裁で罰金100万円の刑事罰を受けた。この事件に関連し、起訴されていなかった歴代の代表者(都議会議員)や会計責任者ら9人が2月17日までに、同罪で東京地検に刑事告発された。
告発したのは、神戸学院大学の上脇博之教授。
告発状などによると、都議会自民党は2019年と2022年に政治資金パーティーを開催した際、パーティー券販売収入の一部を収支報告書に記載せず、販売を手掛けた議員がそのまま使える裏金としていた。
政治資金規正法の取り決めでは、本来、これらの政治資金パーティーの収入は収支報告書に記載した上で、都議会自民党から各議員側への支出(寄付)として記載しなければならない。しかし、売り上げの一部を不記載としたことで、売り上げ収入や寄付支出を過少に記載していたという。各議員による「中抜き」の金額は、2019年は21件・1824万円、2022年は13件・1049万円に上ったとされる。
一方、この事件に関連し、略式命令を受けた会計担当者は2019〜2023年の間、政治団体・都議会自民党の代表者や会計責任者、事務担当者でもなかった。告発状は、そのような人物が3500万円近い裏金作りを独断で実行できるはずはなく、この政治団体の代表者や会計責任者らも一連の裏金作りを認識していた疑いがあると指摘している。
都議会自民党の代表者、会計責任者は、都議会議員が交代で務めている。
上脇教授は次のように話している。
「自民党の安倍派や二階派は、パーティー券の販売ノルマを超えた分を“キックバック”と“中抜き”によって収支報告書に記載せず、裏金としていましたが、都議会自民党の手口は“中抜き”だったようです。都議会自民党は2019年と2022年の裏金づくりを認める記者会見を行い、すでに2021年分~2023年分の各収支報告書を訂正しました。捜査を受けての訂正なので、規正法違反の“自白”です。今回の告発では、今年3月に公訴時効(5年)となる2019年分を除外し、2020年分以降を対象としました」