「首長選挙はないほうがいい」村長が公言する大分県「姫島」のいま

  1. オリジナル記事

◆61年ぶりの村長選、敗れた対立候補は……

 2016年の村長選で現職の対抗馬として立候補し、61年ぶりの村長選を戦ったのは、藤本敏和さん(69)だ。今は農作業をしながら、得意の韓国語を住民に教えてもいる。

 「この村の閉塞感に一石を投じたかったんです。例えば、村議の選挙は、言論ではなくて親戚が多いほうが勝つ。若い人や女性が出馬して、もっと多様な意見が出ていいはずです。(村政関連の)会合でも案を出し合うのですが、参加者が不満をよく言います。『どうせ決めるのは村長。提案しても、一度も採り入れられたことがない』と。(同じ人が権限を持つことが)長く続くと弊害が出ます」

 敏和さんは姫島村出身。村長とは同姓だが、親戚関係にはないという。進学で島を出てNHKに入り、アナウンサーや国際放送のプロデューサーなどを経験。退職後は韓国の大学の招聘教授などを経て、2014年に老後を過ごすために島に戻ってきた。村では、教育委員なども務めた。

 選挙結果は、現村長が1199票、敏和さんは512票。

 敏和さんはこう振り返る。

 「立候補してよかったと思います。(出馬の際に)村長から『村長になりたいならなぜ早く言わなかった? 次は任せてもいいかもしれない』と言われました。だから今回の選挙は降りろ、というニュアンスです。でも、それでは支持者を裏切ることになる」
 「昔の村社会では有力者の話し合いで(村長を)決めればよかったのかもしれません。ですが、その輪に入れず、不満を持つ人は必ずいるんですよ。その声が反映される制度が選挙です。(選挙をして)しこりはたしかにあるのかもしれません。でも、選挙がなくたって、不満はあるんです」

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 この記事は<「首長選挙はないほうがいい」 村長が公言する大分県「姫島」のいま>の一部です。2018年11月28日、Yahoo!ニュースオリジナル特集にて公開されました。取材を担当したのは、いずれもフロントラインプレスのメンバーである末澤寧史さん、田之上裕美さんです。
全文は、Yahoo!ニュースオリジナル特集のサイトで読むことができます。下記にアクセスして、リンク先に飛んでください。Yahoo!へのログインが必要な場合もあります。公開中の記事とは、写真の配置などが異なっています。
「首長選挙はないほうがいい」村長が公言する大分県「姫島」のいま

■最低投票率の町でのルポも

 選挙の投票に関する記事では、<国政は東京のことばかり “最低投票率”大間町の本音とは>もあります。衆院選の投票率が2回連続、全国の市町村で最低を記録した青森県大間町。「マグロ」で知られるこの町をフロントラインプレスのメンバー、大矢英代さんらが訪ね、現地の様子をルポした記事です。

 2017年10月20日、こちらもYahoo!ニュースオリジナル特集で公開されました。下記のリンク先で全文を読むことができます。
「国政は東京のことばかり」 “投票率最低”のマグロの町の本音とは

 こちらの記事では、本文中に以下の記述があります。

 ……近年、「投票率」は国政か地方かを問わず、選挙のたびに問題となってきた。
ワースト記録には、惨憺たる数字が並ぶ。以下はいずれも補欠選挙の数字だが、衆院選のワーストは2016年・京都3区の30.12%。参院選では1991年の埼玉県選挙区の17.80%。同じ埼玉県では、2014年の埼玉県議選が13.47%にまで落ち込み、有権者のおよそ7人に1人の投票で議員2人が当選した。さらに、広島県東広島市の市議選では、2010年に8.82%という「ひと桁投票率」も生じている。

 選挙は民主主義の根幹。フロントラインプレスは引き続き、さまざまな視点と手法で、「選挙」にアプローチしていきます。

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末澤寧史
 

ライター、編集者。

1981年、北海道札幌市生まれ。兵庫県西宮市在住。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。 書籍、雑誌、Webニュースなどで異文化理解につながるテーマを多く取材している。

【共著】
 
   
 

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