自腹買取り、突然の賠償請求、欠勤への罰金―コンビニバイトが訴える実態

  1. オリジナル記事

◆過労で倒れたら「救急車で来い」

 東京都内在住のフリーター・梶田悠一さん(31)=仮名=も、コンビニで異常な長時間労働を強いられた経験がある。これまでセブンイレブンやファミリーマート、ポプラなど10店近くで働いてきた。このうち、2年前に勤めたローソンでは、夜勤明け後、2時間ほど休憩してそのまま日勤に入るシフトに「たびたび入れられました」と言う。
 「いつも人手が足りない状態で……。フリーターの僕は学生に比べて時間に融通が利くから、使い勝手がよかったんだと思います。日勤が終わるのは夜の10時でした」
 事実上の24時間連続勤務である。過労で倒れるのは時間の問題だった。

 ある日、出勤途中に突然、めまいがして道端に倒れ込んだ。通り掛かった誰かが救急車を呼んでくれたらしい。搬送される途中、携帯電話でオーナーに遅刻しそうだと伝えたところ、「そんなのダメだ。今すぐ救急車で店まで連れてきてもらえ」と怒鳴られたという。見かねた救急隊員が電話を代わり、オーナーと口論の末、なんとか病院に行くことができた。
 ところが、後日出勤すると、オーナーは「あの日は急遽、派遣社員を手配しなくてはならなかった」と言い、その分の人件費として2万円を請求してきたという。

 梶田さんによると、この店では、アルバイトも発注業務を担い、弁当やおにぎりなどが売れ残ると、その一部を買い取りさせられた。缶飲料やカップデザートを過って落とすと、それらも全て買い取り。レジの不足金だけでなく、万引きによる損害も、その時間帯に勤務していたアルバイトが割り勘で負担させられた。
 梶田さんの場合、これらの金額は毎月合計で3万〜4万円に上ったという。
 「この店ではサービス残業もしょっちゅう。深夜帯はワンオペで、休憩も取れませんでした。でも(勤務経験のある)ほかのコンビニでは、買い取りはさせない店もありましたから、結局はオーナー次第なんだと思います」

「自腹買取ゼロ」を掲げる札幌市での活動(撮影:藤田和恵)

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 この記事は<自腹買取り、突然の賠償請求、欠勤への罰金―コンビニバイトが訴える実態>の一部です。Yahoo!ニュースオリジナル特集で、2018年10月11日に公開されました。取材はフロントラインプレスのメンバー、藤田和恵さん。劣悪な労働環境に苦しむ人々を追い続けています。

 記事ではこのあと、しわ寄せは、今やフランチャイズの店舗オーナーに及んでいることなどが詳しく紹介されていきます。
記事公開から少し年月が経過しましたが、コンビニをめぐる労働環境は決して好転していません。藤田さんは引き続き、この問題の取材を続けています。

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自腹買取り、突然の賠償請求、欠勤への罰金―コンビニバイトが訴える実態

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藤田和恵
 

ジャーナリスト。

1970年、東京生まれ。北海道新聞社会部記者などを経て現在フリー。 Yahoo!ニュース特集で労働問題などについて執筆。

【主な著書】
 
 
   
 

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