「怖いよ」仕事中に小学生の娘から5分おきメール……敏感な子ども「HSC」と向き合う親の苦悩

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「怖いよ」仕事中に小学生の娘から5分おきメール……敏感な子ども「HSC」と向き合う親の苦悩(2019・12・19 Yahoo!ニュース特集)

 「ハイリー・センシティブ・チャイルド」(HSC)という気質を持った子どもたちがいる。「人一倍敏感な子ども」という意味だ。感受性が豊か。他人の気持ちによく気が付く。一方で、周囲の刺激に敏感で傷付きやすい――。そして親たちは、戸惑いや悩みも深いという。HSCについては、大人版の「ハイリー・センシティブ・パーソン」(HSP)もある。あまり知られていない、その現状を追った。

撮影:当銘寿夫

◆突然の「学校に行きたくない」 やがて長期化

 ある年の9月、2学期が始まる日だった。
埼玉県に住む斉藤和代さん(40代・仮名)の娘が朝、「行きたくない。給食食べて、吐いたらどうしよう」と言い出した。
小学校1年生。今日は始業式だから給食はないよ、と言い聞かせて送り出すと、帰宅してからこう言った。
「お母さん、明日は行きたくない」

斉藤和代さん(仮名)=埼玉県内で(撮影:当銘寿夫)

 予兆はあったという。
夏休み中、熱中症のような症状が出て学童保育を休み、その後、学童保育に行けなくなった。斉藤さんは「学校に行ければいい」と考えたが、学校にも通えなくなる。登校しようとすると、おなかが痛くなった。小児科を受診しても、医師は体に異常は見当たらないという。何度か受診した後、小児神経科を紹介された。小児神経科の医師は「不安障がいかもしれません」と言う。

 並行して行政の教育相談室も訪れた。そのときのことである。
そこは、担当者が親子別々に話を聞く方式。1時間ほどの相談を終えて斉藤さんが外に出ると、泣き疲れた娘が立っている。母親と離されたことが不安で、ずっと泣き続けていたという。
「二度と教育相談室に行かない、と言いました。ほかの相談にも行けなくなって……。家でのお留守番もどんどんできなくなった。とにかく、私がいないとだめなんです」

娘のランドセルと机(撮影:当銘寿夫)

◆娘から職場に「怖いよ」 5分おきに連絡

 斉藤さんは、実母とも一緒に暮らしている。学校に行かなくなった娘を実母に頼み、斉藤さんは仕事に出た。娘には子ども向けの携帯電話を渡したが、今度は携帯に何度も連絡が来た。
「メールで何度も『怖いよ』って。5分おきだったこともあります。電話もしょっちゅうかかって。上司が『心配だったら帰っていいですよ』って言ってくれて早退したんですけれど、結局、その日を最後に職場に行けなくなった。娘は家の中どころか、私が一緒の部屋にいないと不安がるようになって」

 斉藤さんと娘の離れられない日々が始まった。

撮影:当銘寿夫

 カウンセリングのために外出すると、建物の入り口で娘が強く嫌がり、入ることができない。電話相談をしようとすると、察した娘が携帯電話を持つ腕の裾を引っ張り、通話ができない。久しぶりの場所や初めての場所も極度に嫌うようになった。
斉藤さんの行きつけの美容室に一緒に付いてきても、店の前で泣き出す。だから、斉藤さんは自分で自分の髪を切るようになった。
「本当につらかったですね。くっついて離れなくて。どこにも行けない。誰とも会えない。誰かに相談さえできない。シングルマザーだったので、私が働かないと収入もない。フェイスブックとか、見られなくなっちゃいました。(友達は)みんな、『ここ行ってきたよ』と写真を載っけるじゃないですか。精神衛生上、すごくよくないんですよ。だから見なかったです。一切やめた」

撮影:当銘寿夫

 「自宅への訪問相談をやっていないか、あちこちに尋ねたんですけど、どこも(相談の際は)『来てくれ』って。それができないから困っているのに」
斉藤さんはこのころ、娘との日々をインターネットで発信していた。ある日、読者からのコメントが目に留まった。「娘さんのお話を読んでHSCが思い浮かびました」と記されている。HSC? 初めて聞く言葉だった。
調べてみると、「集団の中で疲れやすい」「周囲の人の負の感情が入ってきて、疲れる」といった気質らしい。どれも娘に当てはまる。発達障がいの可能性も考えていた斉藤さんは、ようやく、「これかもしれない」と得心したという。

斉藤さん(撮影:当銘寿夫)

◆5人に1人が該当という研究も

 HSCやHSPは病気や障がいではなく、持って生まれた「気質」の一つだ。米国のエレイン・アーロン博士(心理学)が1996年に提唱し、次第に研究が進んだ。
同博士によると、「深く考え、深く処理する」「過剰に刺激を受けやすい」「感情の反応が強く、特に共感力が高い」「ささいな刺激を察知する」という4条件を満たすと、HSCやHSPに該当する。
該当者の割合は15〜20%、およそ5人に1人になるという。

 感性が豊かで空想にふけりがちだったり、慎重すぎたり。周囲の微妙な変化も強く感じ取って自分の中に取り込んでしまうため、物事に圧倒されがちなところもある。そうした結果、思ったような行動を取れなくなり、周囲には「内向的」と映るケースも少なくないとされる。

米国では、アーロン博士の研究をもとに記録映画も制作された。その『Sensitive-The Untold Story』の一場面(documentary, 2015, Foundation for the Study of Highly Sensitive Persons) 

 子どもが「ハイリー・センシティブ」だったらどうしたらいいか。

 お茶の水女子大学人間発達教育科学研究所の研究協力員・岐部智恵子さんによると、HSPやHSCの気質特性自体に「良い」「悪い」はない。
「子どもは一人ひとり違います。子どもをよく観察して、どんなときに心地よいと感じ、喜ぶか。探偵になった気持ちで接してみてください。集団になじめなかったり、細かなことにこだわったりするのは『わがまま』ではなく、感覚特性によるつらさかもしれません。困ったときには周囲や専門家の助けも借りながら、その子らしさが開花するよう子育てを楽しんでほしいと思います」

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 この記事は<「怖いよ」仕事中に小学生の娘から5分おきメール……敏感な子ども「HSC」と向き合う親の苦悩>の一部です。2019年12月19日、Yahoo!ニュースオリジナル特集で公開されました。取材は、フロントラインプレスの当銘寿夫さん。
記事はこのあと、「とことん娘と付き合うと決めて」「気付かないまま当事者として生きた」「『人一倍敏感な人』の交流会を主宰して」などと続きます。

 記事の全文は、Yahoo!ニュースオリジナル特集のサイトで読むことができます。下記のリンクからアクセスしてください。Yahoo!へのログインが必要になることもあります。
「怖いよ」仕事中に小学生の娘から5分おきメール……敏感な子ども「HSC」と向き合う親の苦悩

 
   
 

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