選挙余剰金の使途不明さらに 萩生田経産相と甘利幹事長も

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選挙余剰金の使途不明さらに 萩生田経産相と甘利幹事長も(本サイトのオリジナル)

 選挙運動の際、公金も含まれた費用を余らせ、その余剰金(残金)の行方が不明になるケースが相次いでいる。フロントラインプレスはすでに、小林鷹之・経済安全保障担当相が初当選時から直近2017年の衆院選まで、過去3回の選挙で総額2210万円を余らせ、その使途が不明になっていたことを報じた。発足したばかりの岸田内閣の閣僚らに限っても「余剰金が不明」のケースはほかにもある。今回は萩生田経産相と甘利幹事長に関する内容を報告する。

◆萩生田経産相 過去3回の選挙で1680万円の余剰金が使途不明

 選挙運動の収支は、候補者が選挙後に各選管へ提出する「選挙運動費用収支報告書」で把握できる。通常、収入は政治団体(政党支部)からの資金やカンパなど、支出は事務所費や演説会のための諸費用、ポスターやビラの印刷代などで構成。このうち、ポスターやビラなどは公費負担されている。したがって、選挙運動で余ったカネ(余剰金)は「収入―(支出-公費負担)」で算出できる。
 余剰金が出た場合、選対本部への資金繰り入れ元である政治団体(多くは政党支部)に返却するのが当然と解されている。そのため、政治資金収支報告書を使って政治団体に戻し入れ金があったかどうかも調査した。

 経産相の萩生田氏(東京24区)の選挙運動費用収支報告書(要旨)によると、過去4回の選挙で出した余剰金のうち、政治団体「自由民主党東京都第二十四選挙区支部」(代表・萩生田氏)に戻した形跡のない「行方のわからない余剰金」は総額で約1680万円にも達していた。
 個別の選挙ごとに見ると、2009年選挙では819万6692円のお金を余らせたが、「選対本部戻入金」として同支部に返したのは、わずか10分の1ほど79万5025円に過ぎない。その結果、740万1667円ものお金の行方が分からない状態になっている。
 同じように使途不明の余剰金は、2012年に718万9892円、2014年に221万7317円に上っている。

 一方、2017年の選挙では、公費負担分も含めて1円単位までピッタリと計算された。その結果、萩生田陣営は186万7921円を同支部に返却し、余剰金の使途を明確にしている。

萩生田光一氏のHPから

 この問題について、フロントラインプレスは萩生田氏の事務所に対し、以下の3点を質問した。

① 09、12、14年の選挙で出た余剰金は、何に使いましたか?
② (仮に政党支部へ戻したと言うのであれば)政治資金収支報告書を修正するつもりはありますか?
③ 2021年の選挙で余剰金が出た場合、適切に処理するつもりがありますか?

 これに対し、萩生田氏の事務所からは以下の回答が寄せられた。

 「公選法189条に基づいて収支報告されている選挙運動費用の残余財産の使途については、公選法は特に規定を設けていません。そして、選挙管理委員会の政治団体の手引きにも選挙運動費用の残金を選挙後の公職の候補者の政治活動に支出した際の課税関係について説明していることに照らしても、残金を個人の政治活動に費消することも認められているところです。ご質問の選挙運動費用については、選挙後の借りていた事務所の原状回復工事やごみ処分・清掃などの残務のほか個人の政治活動のために支出しているところです」

◆自民党幹事長の甘利氏 約447万円の余剰金が使途不明

 自民党幹事長の甘利明氏(神奈川13区)についても、同じ方法で選挙の余剰金を調べた。その結果、2009年と2017年の選挙では、余剰金と同額を政治団体「自由民主党神奈川県第十三選挙区支部」(代表・甘利氏)に返却し、余剰金の行方が外からもきちんとわかるようになっていた。
 ところが、2012年と2014年は真逆で、同支部に余剰金は戻されていない。その結果、2012年には230万3581円、2014年には216万9211円、合計で447万2792円の使途がわからなくなっている。
 12年と14年については、使途不明の金額がそれぞれの年の公費負担分と完全に一致することから、陣営の経理担当者が公費負担分を全く考慮せず、ただ単に収支の差額をゼロにする狙いで「選挙運動費用収支報告書」を作成して選管に提出していた可能性がある。

甘利明氏(自民党のHPから)

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本間誠也
 

ジャーナリスト、フリー記者。

新潟県生まれ。北海道新聞記者を経て、フリー記者に。

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