選挙余剰金の使途不明さらに 萩生田経産相と甘利幹事長も

  1. オリジナル記事

◆甘利氏事務所の回答は……

 

 フロントラインプレスは甘利氏の事務所に以下の2点を質問した。

①2012年、2014年の余剰金に関して、仮に政党支部へ戻したとするのであれば、政党支部の「政治資金収支報告書」の修正が必要になります。そのつもりはありますか?
②両年の余剰金は行方不明の状態です。何に使ったのかでしょうか?

 これに対し、同氏の事務所からは次の通り回答があった。

 「公選法189条に基づいて収支報告されている選挙運動費用の残余財産の使途については、 公選法は特に規制を設けていませんし、特段の報告義務もないと承知しています。 いずれにしましても、ご質問の選挙運動費用の残金については、法令に従って適正に処理しているところです」

◆政治とカネの専門家「テキトーだな、のひと言です」

 国会は「国権の最高機関」(憲法41条)であり、選挙は極めて公的な活動だ。ところが、活動資金は多くのケースで実は余っているうえ、余剰金の使途は公選法に規定されていない。つまり、「選挙費用」という公的な資金は残金になった途端、私的な性格を帯びてしまい、政治団体(政党支部)に戻し入れされない限り、何に使ったか分からない状態になってしまう。萩生田氏と甘利氏のケースは、それを如実に示している。

 両氏の余剰金処理について、「政治とカネ」のエキスパートの日本大学大学院講師の岩井奉信氏はこう指摘している。

 「何度も当選している議員の事務所なら、本来ならルーティンで余剰金の適切な処理方法は決まっているはずです。選挙によって適切だったり使途不明だったりするのは、選挙の都度、担当者の裁量に任せているからでしょう。事務所の担当者の中でルーティンが定まっていないか、引き継がれていないか。いずれにしろ、『テキトー』のひと言です。議員本人も『政治とカネ』に関する注意力をそもそも持っていないのでしょう」

※この記事には関連の続報を予定しています。
※第一報はこちら→「選挙で余ったカネはどこへ? 小林鷹之・経済安保相、計2210万円が不明」

■参考記事
選挙運動の余剰金を追う
選挙運動余剰金 議員個別の詳細ビジュアルデータ(東洋経済オンライン+フロントラインプレス、協力・スローニュース)

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本間誠也
 

ジャーナリスト、フリー記者。

新潟県生まれ。北海道新聞記者を経て、フリー記者に。

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