投票前に知ってほしい「政治と金」問題頻発の根本(2021.10.22 東洋経済オンライン)
「金権政治」という言葉が一般に使われるようになったのは、1970年代の田中角栄政権の前後からだった。自民党の総裁選では多額の現金が飛び交い、「金権選挙」と呼ばれた1974年の参院選・全国区は「5億円で当選、4億円なら落選」とうわさされたという。近年も「桜を見る会」「河井夫妻による選挙買収事件」「IR汚職」など、「政治とカネ」に関する問題が後を絶たない。
なぜ、政治とカネの問題は続くのか。この分野での専門家である神戸学院大学法学部の上脇博之教授にイロハから深層までをじっくりと尋ねた。
◆政治資金パーティーを開く理由
――最初はパーティーの話を。政治家はよくパーティーを開きます。お金を集めるためと言われますが、なぜパーティーで集めるのでしょうか。
政治資金規正法の規定では、政治団体は企業献金を受け取ることができません。他方、政治団体が政治資金パーティーを開催すること、企業がそのパーティー券を購入することは禁止されていません。その隙間をついて、政治資金パーティーを開くことで事実上の企業献金を受け取ろうとしているわけです。政治団体による政治資金パーティーの開催理由は、これが第1です。
2つ目の理由は、直接の寄付よりも透明性がないことです。パーティー券を購入した者のうち、氏名(名称)、住所(所在地)、購入金額、年月日を政治資金収支報告書に記載しなければならないのは、1つの政治資金パーティーにつき、合計20万円を超えた購入者に限定されています。それ未満の購入者は氏名を明かさずすみます。氏名・名称などを公表されたくない購入者にとっては好都合です。
政治団体や政党支部(代表者は国会議員本人やその候補者が大半)が政治資金パーティーを何度も開催するのは、その都度、企業がパーティー券をたくさん買ってくれれば、政治資金が集まるからです。
――儲かるんでしょうか。
例えば、2万円のパーティー券を購入したとしても、会場代や食事代などの経費が1人2万円を超えることはないでしょう。受け取ったパーティー券の代金から、会場費や食事提供などの諸経費を差し引いた額が政治団体の儲けになります。例えば、10人分のパーティー券を企業が買ったとしても、実際のパーティー参加者が1人か2人なら、残りの19人分または18人分は事実上の献金であり、主催者の儲け額は多くなるのです。
――政治団体は企業献金を受け取れないからパーティーを開くわけですね。でも、「政治家は企業からお金をもらっている」とよく聞きます。企業献金です。これはどういうことですか。
先ほども言ったように、政治資金規正法で政治団体は企業献金の受け取りを禁止されています。しかし、政党支部は企業献金の受領を認められていますので、政党に所属している国会議員は支部長(代表)になって、企業献金を政党支部で受け取ろうとするのです。
――もし、パーティー券の販売収入を超える経費がかかり、政治団体側が赤字になってしまったらどうなるのでしょうか。
それが「安倍晋三後援会」が開いた「桜を見る会前夜祭」の場合です。
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この記事は、<投票前に知ってほしい「政治と金」問題頻発の根本>の冒頭部分です。政治家とカネの問題、その根本をわかりやすく解きほぐす記事です。取材・執筆は、フロントラインプレスの鈴木祐太さんが担当しました。記事全文は東洋経済オンラインのサイトで読むことができます。このリンクからアクセスしてください。