外国人技能実習生“失踪の背景”とは 読売新聞のスクープ、瀬戸内海放送の番組から

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◆国から「優良」認定された18団体で法違反

 外国人技能実習生問題をめぐって、読売新聞が『実習生の監理団体、許可取り消しの半数超に国が「優良」認定…ずさんな審査浮き彫り』というスクープを6日朝刊で報じた。

 ベトナムなどからの技能実習生は、「監理団体」を窓口として受け入れが行われている。一定の要件を満たせば、国から「優良団体」に認定され、実習生の在留期間の延長や人数枠拡大といった優遇を得られる。全国約3500の監理団体のうち、「優良」は1755団体ある。ところが、「優良」基準の審査は自己申告に基づくため、一定の要件を満たせばどのような団体でも認定される。

 読売新聞の取材では、法令違反で許可が取り消された30監理団体のうち、18団体は「優良」のお墨付きを得ていながら、虚偽の監査報告書や違法な名義貸しに手を染めるなどし、技能実習適正実施・実習生保護法に反する行為が確認された。この記事では、この国のずさんな審査の犠牲者ともいえるベトナム人男性(32)にも言及している。この弾性は愛知県の「優良」監理団体を経由して来日したが、実習先ではアスベスト(石綿)の除去作業を命じられ、体調を崩して退職に追い込まれた。男性は、渡航費用の借金50万円だけが残っているという。

 「優良」を含む監理団体に過酷な労働環境の実習先をあっせんされ、その結果、実習生が逃げ出す事例は後を絶たない。そしてその延長線上で失踪したり、不法残留となったりする外国人は少なくない。

◆「誰も罪を犯したくて来日しているわけではない」

 外国人実習生をめぐる報道では、岡山県・香川県を放送エリアとする瀬戸内海放送制作のドキュメンタリー映画『ともにこの国で ベトナム技能実習生の再出発』が出色だった(2021年10月、テレビ朝日系「テレメンタリー2021」で放送)。

『ともにこの国で ベトナム技能実習生の再出発』(瀬戸内海放送)から

 

 「むき甘栗」などのレトルトパウチを製造する岡山市の食品会社。その工場で働くベトナム人の男性(22)は、この企業に雇用される前、別の会社から逃げ出し、“失踪”した経験を持つ。九州地方の建設会社に勤めていた彼は、コロナ禍で仕事が減る中、上司から「ベトナムに帰れ!」などの暴言を何度も浴びせられていた。絵に描いたようなパワハラである。技能実習生は、日本で3年間働かなければ転職できないという基本ルールがある。そのため男性は「失踪」というルール違反を選んだのだ。

 技能を身につける場と言われながら、少なくない実習生が実際は単純労働力として扱われる。番組の中で、「お金を稼ぎたくて、働きたくて、学びたくて日本に来ているわけで、誰も罪を犯したくて日本に来ているわけではない」という言葉が紹介される。読売新聞の記事と合わせて目にすれば、この問題の根っこが見えてくるはずだ。

『実習生の監理団体、許可取り消しの半数超に国が「優良」認定…ずさんな審査浮き彫り』( 読売新聞オンライン、2022年1月6日)
『ともに この国で~ベトナム人技能実習生の再出発~【テレメンタリー2021】』(KSB 瀬戸内海放送制作、YouTube)
『なぜこんな冷酷なことができるのか? ウィシュマさんの死と入管 指宿昭一弁護士語る』(フロントラインプレス・本間誠也)

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