“私たちの顔データ” JR東日本に収集された後、どう使われるのか? 「確かめる方法はない」

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◆話し合いに出向いても、JR東日本は全く応じない

 小倉氏が続ける。

 「JR東日本の顔認識カメラの実態は何かというと、非常にざっくり言うと、カメラに映った膨大な人の顔と、顔に関するデータベースを照合してそいつが何者で、どういう行動を取りそうなのか、という判断ができる仕組みのことです。顔データベースには、新聞報道を受けて取りやめになった刑務所からの出所者情報とか、指名手配の人とか、駅構内で『うろつき』をしている人などのデータがあるんだと思います。不特定多数の人の顔のデータを根こそぎ取得して、分類して、この人はうろつき、この人は前科者とか。今は何も引っかからない人であっても情報をデータベースに入れておいて、将来何か問題を起こしたときに『あの人はここにいた、あそこにいた』と分かるような仕組みでないと、行動分析なんてできません」

 「しかし、一連の仕組みは全く分かりません。だから推測で話すしかない。その不明なところをきちんと情報開示させないといけないんですが、JRは民間会社なので国のように私たちの権利が及ばない。データも出さない。話し合いに応じてほしいと出向いても会わない。受付で追い返される。それが繰り返されているのが現状です」

講演する小倉利丸氏=2021年1月17日、衆議院第1議員会館(撮影:本間誠也)

◆監視国家ランキング 1位中国、2位ロシア…日本は4位

 小倉氏がスライドで示した海外の調査団体のデータによると、国別の監視度の強さは1位中国、2位ロシア、3位アラブ首長国連邦(UAE)。日本はそれに次ぐ4位だ。調査団体によってばらつきはあるものの、トップ5以内にランク付けされている。調査団体は「日本で懸念されるのは、犯罪者を追跡するために、監視カメラの情報と市民のソーシャルメディアアカウントを併用していることだ」と指摘しているという。

 「国内には確かに監視カメラは多い。そして日本の警察はLINEなどに繰り返し繰り返し、かなりの数のデータ請求をしています。(LINEなどのSNSから入手した情報を)顔認識とセットにして警察の監視が行われていることは事実だと思います。警察庁は昨年春、参院内閣委員会で共産党の質問に答えて、警察のデータベースには被疑者の写真約1170万件が保有されていると述べています。監視ランキング上位の国は『監視への反対運動が脆弱な国、相対的に弱い国であり、こうした強力な監視技術がどんどん入っている』と指摘されています。運動の力はやはり大きいと思います」

講演会で配布された資料(撮影:本間誠也)

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本間誠也
 

ジャーナリスト、フリー記者。

新潟県生まれ。北海道新聞記者を経て、フリー記者に。

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