◆ウィシュマさんの妹「日本の全国民にビデオを見てほしい」
所用で報告会に出席できなかった参院議員・有田芳生氏(立憲)は、次のようなメッセージを主催者に託した。
「聞きしに勝る残忍な状況が映像では続き、名古屋入管による医療放棄、介護虐待による『緩慢な殺人』だと評価されても仕方ないでしょう。入管が人間的対応を取っていれば、ウィシュマさんの命は救われたと確信します。ビデオは2月22日からですが、その前の15日にウィシュマさんが飢餓状態にあることを示す検査結果が出ていました。22日以降の映像は食事を口に運ぶ、吐くの繰り返しです。職員も『栄養が大事だ』と何度も口にしていましたが、飢餓状態なら救急搬送して治療を受けさせるしかない。それが看護師や医師の、人間として当たり前のモラルでしょう」
「今でも印象的な場面があります。職員がベッドに横になっているウィシュマさんの姿を立ったまま、じーっと見つめているのです。その内心には何があったのでしょう。これはおかしい、大変なことになる、どうしようかと思うのが当たり前です。果たして上司にどう報告したのでしょうか。報告された上司はどう判断したのでしょうか。看守の勤務日誌に何が書かれているか、開示請求しても黒塗りの書類が出てくるだけで何も明らかになっていません」
集会の最後、ウィシュマさんの妹のポールニマさんは通訳を介してこう述べた。
「私が訴えたいのは、日本の国民のみなさんにもビデオを見せてほしいということ。見ることで、日本のみなさんも入管がどういうふうに外国人を扱っているかが分かるし、二度とこういうことが起きないように制度を変えていくことができる。姉の死因を解明するために今後も頑張っていきたい」
『ウィシュマさんビデオ報告会詳報【上】入管が見せたもの、隠したもの』(フロントラインプレス)
『なぜこんな冷酷なことができるのか? ウィシュマさんの死と入管 指宿昭一弁護士語る』(フロントラインプレス)
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