自民党の平沢勝栄氏(東京17区)を追加で刑事告発/政治資金規正法違反で 裏金1817万円を受領/神戸学院大学の上脇博之教授、東京地検に 

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◆元復興大臣の平沢氏「安倍派と二階派だけでなく、裏金は他の派閥もやっている」

自民党裏金事件に関連し、政治資金規正法違反で刑事告発されながら嫌疑不十分で不起訴となった自民党の平沢勝栄衆院議員(東京17区)について、神戸学院大学教授の上脇博之氏は9月17日、平沢氏と会計責任者ら5人を同法違反(不記載、虚偽記載)で東京地検に追加で刑事告発をした。

平沢氏は警察庁出身。岡山県警本部長や警察庁長官官房審議官などを経て、1996年の衆院選で初当選。2020年に発足した菅義偉内閣で、復興大臣を務めた。現在9期目。東京大の学生時代には、安倍晋三元総理大臣の家庭教師を務めていたことでも知られている。その平沢氏は今回の裏金問題について、今年9月4日にラジオ日本の番組「岩渕恵子のスマートNEWS」に生出演した際、「安倍派と二階派が問題だとやったが、他のところだってある。にもかかわらず、全部すっとばしてやったのは茶番劇だ」と語っている。

 

追加で刑事告発された平沢勝栄氏=自身のHPから

◆平沢氏の政治団体、裏金の受領は1817万円

一連の事件では、自民党の各派閥が政治資金パーティーを開いた際、安倍派(清和政策研究会)が約13億5千万円、二階派(志帥会)が約3億8千万円、岸田派(宏池政策研究会)が約3千万円の収入を政治資金収支報告書に記載していなかったとして、それぞれの会計責任者計3人が在宅起訴・略式起訴された。このうち、二階派の元事務局長は自身の公判で起訴事実を認めたうえで、「何があるかわからないから金を蓄えたいと考えた」などと釈明。禁錮2年・執行猶予5年の有罪判決を受けている。

この二階派の有力議員である平沢氏の資金管理団体「勝栄会」は、派閥の政治資金パーティー収入から2018年以降の5年間で1817万円を受け取っていたことが判明している。このため、上脇教授は今年1月、キックバックを受け取っていた二階派の国会議員(二階俊博、平沢勝栄ら7氏)と政治団体の事務職員らを刑事告発。東京地検特捜部は7月8日、国会議員7人を不起訴処分としていた。

今回の追加告発は今年1月から2月にかけ、「勝栄会」が2021年分の収支報告書を訂正したことに伴うもの。勝栄会は東京地検による裏金事件の捜査が終了した後、実際は「自由民主党東京都第17選挙区支部」(代表・平沢氏)に500万円を寄付していたと収支報告書を訂正した。それを受けて「第17支部」は2月22日に「勝栄会」から寄付を受け取ったと収支報告書を訂正。同時に高知県の会社から150万円の寄付を受け取っていたなどとする訂正も行った。告発では、これらの訂正が政治資金規正法の不記載および虚偽記載に当たるとしている。

◆上脇教授「平沢氏の指示なしにはできない行為」

平沢氏らを追加告発した上脇教授は次のように説明している。

「勝栄会は第17支部に500万円を寄附したことを収支報告書に記載せず、第17支部はその寄付を受けたことを記載していなかった。双方の不記載は偶然ではない。勝栄会と第17支部の会計責任者・事務責任者は全て違う人物が務めており、両方の代表者である平沢氏の指示がなければ実行できない違法行為だったはずだ」

鈴木祐太
 

ジャーナリスト。

地方の理系大学に在学中から、被差別部落・ベトナム難民などの在日外国人の子どもたちへの支援に関わる。

小学校臨時教員、派遣社員などを経て、ネットを中心としたメディアに関わり、「政治とカネ」「子どもの貧困」などの社会問題を中心に記事を発表してい...

 
 
   
 

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