なぜやまぬ「介護ハラスメント」 セクハラや暴言 7割超の職員が経験

  1. オリジナル記事

◆「やらせろ」「介護が下手くそ」と言われた日々

 もう一人、ベテランの介護士も紹介しよう。介護歴30年目の藤原るかさん(64)。介護福祉士の資格を持ち、東京都内にある訪問介護の事業所で働いている。
利用者のセクハラと言葉の暴力。
長い経験のなかで何度も悩んだという。
「『やらせろよ』とか、『昨日はやったのか?』とか。そんなふうに聞かれたことは、数え切れません。30代から40代の頃は、しばしば性的な目で見られていました。入浴介助で男性の陰部を洗っていると、ヘンなことをされそうになったり……。訪問介護で自宅に行くと、アダルトビデオがつけっ放しになっていたこともあります。70歳になっても80歳になっても、人間は人間。本能で動こうとするんでしょう」
「暴言も何度もありました。けれども、触られそうになるのと違って、言葉は防ぎきれない。『バカ』『おまえはクソ』などは当たり前です」

 藤原さんによると、介護の現場に慣れていない新人をターゲットにして、ハラスメントを行う人もいる。「おまえは下手くそだ」との言葉を投げ付けたり、訪問介護で何もさせずに帰したり。新人に対するいじめである。
「この業界、人材不足が深刻です。高齢化はますます進むし、労働環境をきちんと整えないと大変なことになります」

藤原るかさん(撮影:板垣聡旨)

◆74.2%が経験者 パワハラもセクハラも

 東京・芝に本部を置く「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン」を訪ねた。
介護業界の労働組合であり、2018年6月には介護現場のハラスメント被害についての調査結果を公表している。それによると、74.2%の介護従事者が何らかのハラスメントを受けていた。そのうち、セクハラを受けた人は40.1%。パワハラは94.2%にもなった。
事務局長の染川朗さんは言う。
「ハラスメントの調査は4年に1回実施していますが、こんな高い数値はかつてありませんでした。『ハラスメント』というと、ふつうは職場の上司からのそれを想像するじゃないですか? この業界は違うんです。まずは、ご利用者やご家族からの嫌がらせ、暴言、暴力です。そもそも(職場の管理者はそれを問題視していないことが多く、われわれも)ハラスメントとして分類していいのかどうか、困惑していました」

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 この記事は<なぜやまぬ「介護ハラスメント」 セクハラや暴言 7割超の職員が経験>の冒頭・前半部分です。取材は、フロントラインプレスのメンバーである 板垣総旨 さん。記事は2020年2月28日、Yahoo!ニュースオリジナル特集で公開されました。
これに続く記事では、さらなる現場の実態報告に加え、介護ハラスメントを放置していると介護全体が崩壊するという専門家らの危機感も紹介されています。

 記事全文は、Yahoo!ニュースオリジナル特集で読むことができます。下記リンクをクリックしてください。Yahoo!へのログインが必要なこともあります。また、写真やその配置は、一部異なっています。
なぜやまぬ「介護ハラスメント」 セクハラや暴言 7割超の職員が経験

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板垣聡旨
 

記者。

三重県出身。ミレニアル世代が抱える社会問題をテーマに取材を行っている。

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