コロンビアは世界最大のコカイン生産地であり、国連によれば、2017年のコカ栽培地は全国で17万1000ヘクタールにも及んだ。
トゥマコには、コロンビア全土のコカ畑の11%が集中している。海に面していることから、ここでは麻薬の加工・精製、船舶による国外輸送も可能だ。麻薬取引を資金源とする組織にとっては、「要(かなめ)」である。
FARCと政府の画期的な和平合意の後も、トゥマコでの暴力はすさまじい。
全国紙「El Tiempo」によると、 今年は8月までに166人が市内で殺害された。このままで推移すれば、10万人当たりの年間殺人発生は130件に及ぶという。2017年に世界一の殺人発生率となったメキシコのロスカボス市を上回る数字だ。コロンビア全体では年々減少しており、17年は10万人当たりの発生は25件だったから、トゥマコの特異性が際立つ。
トゥマコ沿岸部では伝統的に漁業に従事する人が多い(撮影:柴田大輔)