◆「暴力はたくさんだ」「みんな目を覚ませ!」
暴力が日常になったトゥマコには、ラップを通じて社会と向き合う若者がいる。バリオ出身の20代のヒップホップグループ「AfroMiTu(アフロ・ミトゥ)」だ。結成は3年前。カトリック教会が主宰する若者の文化施設「青年アフロセンター」で開催したラップ講座がきっかけだったという。
コロンビアで活躍するヒップホップグループのメンバーを講師に招き、バリオの若者が参加した。講師が暮らす町もトゥマコ同様、暴力が蔓延していた。同じ背景から生まれた言葉と歌が若者の心に響いたという。
そしてアフロ・ミトゥは今、「暴力はたくさんだ」「みんな目覚めろ、目を開け!」と歌う。
アフロ・ミトゥのメンバーと、「青年アフロセンター」で芸術やダンスを学ぶ若者たち(撮影:柴田大輔)
ボーカルを務める22歳のネイシー・テノリオも、青年アフロセンターでのラップ講座に通っていた。
「最初は難しかったよ。でも、言葉を音楽にうまく乗せられたらすごく面白くなってきちゃって」
アフロ・ミトゥは一貫して社会問題をテーマに曲を作っている。初のアルバムは2017年、ネット上でも発表した。1曲目のタイトルは「Decimos “No” a la Violencia(私たちは暴力に“NO”と言う)」。武装組織との接点が日常にある彼らにとっては危険なテーマだったはずだが……。
ネイシーは言う。
「私は怖くない。もう暴力を前に黙ったりしない。私たちは行動する」
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この記事は<「また人が殺された」―コロンビア貧困地区、若者たちの絶望と希望>の冒頭部分です。記事は2018年10月29日、Yahoo!ニュースオリジナル特集で公開されました。取材を担当したのは、中南米取材に強い柴田大輔さん。フロントラインプレスのメンバーです。
記事はこのあと、「兄は銃弾に倒れた そして妹は歌う」「『トゥマコで生きる』という選択肢」「暗殺されたビクトルが語ったこと」「『和平』に失望 でもここで生きる」「バリオで生きていく」などと続きます。読み応えたっぷりです。
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「また人が殺された」―コロンビア貧困地区、若者たちの絶望と希望