理不尽な死 遺族は「人型パネル」に救われる

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◆「人型パネル」の詩に秘められた思い

2001年活動が始まり、2010年に常設展示ができた「生命のメッセージ」展。活動拠点は間もなく閉じられ、移転先探しはこれから本格化する。大分県の佐藤さんら、各地に「下宿」中のメッセンジャーたちが再び1カ所に集う日は、いつになるだろうか。

活動を立ち上げた鈴木共子さんは、アーティストだ。これまで、偽りのない気持ちを多くの詩につづってきた。「人型パネル」と題する詩では、活動への思いも伝えようとしている。

人型パネル

アトリエに
「メッセンジャー」と呼ばれる
人型パネルを作るために
遠方より遺族が訪れた
真っ白なパネルから
亡き愛するものを
切り出して
愛おしそうに磨き上げる
我が子、我が妻、我が夫
我が母、我が父
我が兄弟、我が姉妹
たかが人型パネル
されど人型パネル
哀れさと無念さが
こみあげて
磨く手がしばし
止まってしまうが
遺されたものたちが
渾身の想いをこめて
生命を吹き込んでいる
たかが人型パネル
されど人型パネル
このままあなたたちを
葬り去りはしない
忘れさせはしない
断ち切られた未来を
想像力で取り戻させる
◆いのちのミュージアムは現在、ギャラリーやアトリエを併設できる施設を探すしている。生命のメッセージ展は引き続き各地で開催予定。詳しくは、いのちのミュージアムHPへ。(記事中の年齢昨年12月の取材時のものです)
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穐吉洋子
 

カメラマン、ジャーナリスト。

大分県出身。 北海道新聞写真記者を経て、ウェブメディアを中心に記事、写真を発表している。

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