東京都小平市が2015年度と20年度、24年度に小学校の「教師用指導書」を購入した際、条例の定めに反し、市議会の議決を経ないまま購入していたことがフロントラインプレスの取材で明らかになった。関係者によると、議会の承諾なしに支出した金額は総計で約9200万円余りに達している。
市側は条例違反の支出だったことに伴い、近く市議会に契約の追認を求める議案を提出する。また、小林洋子市長のほか、副市長、教育長の給与を減額する条例案も提出する方針だ。
◆小学校の「教師用指導書」 5300冊を条例違反で
議会の承認なしに市が購入していたのは「小学校教師用指導書」。文部科学省の検定済み教科書を用いて授業する際、各教科をどのように教えるべきかを解説したもので、教員用のマニュアル本。ただ、国の無償給与制度が適用される児童用の教科書と違い、指導書や教員用の教科書には無償提供の仕組みが適用されず、自治体は必要数を購入しなければならない。
条例に反する小平市の購入は3回確認されている。金額は2015年が約2101万円(1745冊)、2020年が約3133万円(1937冊)、2024年4月が4027万円(1680冊)。3カ年の合計では9261万円、冊は約5300冊に上る。
契約や財産の取得・処分に関する小平市の条例によると、2000万円以上の動産を取得する場合は市議会の議決を得なければならないが、市の担当者が条例の規程を知らなかったことなどから、過去に3回も条例違反の購入を繰り返したという。
◆昨年11月に発覚も速やかに是正せず放置
これらの指導書はいずれも、教科書を取り扱う白山房(本社・東京都国分寺市)から特命随意契約で購入していた。指導書の購入は、ほぼ5年ごとに実施される教科書採択に合わせて実施され、次の教科書採択により新たな教科書が決まるまで、おおむね5年程度使用している。
市の内部調査によると、これらの指導書の大量購入については、2023年11月に近隣の小金井市から指導書購入について、議会の議決の有無に関する問い合わせを受け、確認したところ条例違反であることを把握した。ところが、適切な措置を取らないまま事態を放置。今年4月にも議会の議決を経ずに約4027万円の契約を結んでいた。その後、近隣の小金井市から指導書購入についての問い合わせがあり、改めて対応を検討。その結果、ようやく議会に追認を求めることにしたという。
小平市と同様のケースは、過去にも東京都中野区(2011年)などで発覚。今年に入ってからも都内では武蔵野市(約2200万)や府中市(約7855万)で発覚している。