【資料】岸田文雄首相の「祝う会」不起訴に関する審査申立書/広島検察審査会宛

  1. オリジナル記事

※この申立書の内容は、原本と同一です。ただし、岸田首相以外の被疑者はP、Q、Rという記号に置き換えました(原本では実名)。被疑者Xは原本でも記号で表記されています。

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審  査  申  立  書  

2024年8月28日

広島検察審査会 御中

◆審査申立人

上脇博之(その他情報は略)

◆申 立 の 趣 旨

審査申立人が今年2月29日付で広島地方検察庁に刑事告発した事件(添付資料1.下記第6)について「起訴相当」の議決を求めます。

◆申 立 の 理 由

第1 罪名

政治資金規正法違反

第2 被疑者

被疑者

 氏名 岸田文雄

職業 衆議院議員、内閣総理大臣、「自由民主党広島県第一選挙区支部」代表者

住所 広島市中区八丁堀6-3和光八丁堀ビル9階「岸田文雄後援会」・「自由民主党広島県第一選挙区支部」事務所内

東京都千代田区永田町2-2-1 衆議院第一議員会館 1222号室

被疑者

 氏名 P

職業 「岸田文雄後援会」代表者

住所 広島市中区八丁堀6-3和光八丁堀ビル9階「岸田文雄後援会」事務所内

被疑者

 氏名 Q

職業 「岸田文雄後援会」会計責任者、「自由民主党広島県第一選挙区支部」会計責任者兼事務担当者

住所 広島市中区八丁堀6-3和光八丁堀ビル9階「岸田文雄後援会」・「自由民主党広島県第一選挙区支部」事務所内

被疑者

氏名 X(氏名不詳)

職業 「岸田文雄後援会」の事務職員(当時)

住所 広島市中区八丁堀6-3和光八丁堀ビル9階「岸田文雄後援会」・「自由民主党広島県第一選挙区支部」事務所内

 

第3 事件番号

  • 岸田文雄 令和6年検第102730号
  • P     令和6年検第102731号
  • Q     令和6年検第102732号
  • X(氏名不詳) 令和6年検第102733号

 

第4 処分年月日

2024年(令和6年)8月9日 

第5 不起訴処分をした検察官

広島地方検察庁 検察官検事 小野間薫

第6 被疑事実

1.政治資金規正法は、第22条の8第2項において、政治資金パーティーの対価の支払者に対し、対価の支払が政治資金パーティーの対価の支払である旨を書面で告知するよう主催者に義務づけ、

また、同法第12条第1項は政治資金パーティーの収入と支出につき政治資金収支報告書(以下「収支報告書」という)の収入欄と支出欄にそれぞれ記載すること、それを含む収入・支出につきそれぞれ真実を記入することを義務づけている、

にもかかわらず、

(1)「岸田文雄後援会」の事実上の代表である被疑者岸田文雄は、同名目上の代表者である被疑者P、同会計責任者である被疑者Q、同事務担当者であるR(故人)及び同事務職員であるX(氏名不詳)と共謀の上、

真実は、2022年6月12日(日)午後1時から「リーガロイヤルホテル広島」(広島市中区基町6-78)「ロイヤルホール」「クリスタルホール」で開催する「岸田文雄内閣総理大臣就任を祝う会」(以下、「祝う会」という)が「岸田文雄後援会」の主催する政治資金パーティーであったのに、その収益の一部を裏金にするために、

主催者を「広島県経済関係団体自治体合同任意団体発起人11名」(以下「合同任意団体」という)と偽り、

上記の各義務に違反して、

対価の支払いが政治資金規正法上の政治資金パーティーの対価の支払いである旨、一切告知せずに開催し、

参加者1人あたり1万円の会費を約1100名から徴収して計1100万円(推定)の収入があり、かつ、その経費として少なくとも340万円(推定)の支出があり、また、「祝う会」の収益760万円の一部である321万5167円を2022年9月12日に「自由民主党広島県第一選挙区支部」(以下「県第一選挙区支部」という)に対し寄附金として支出したにもかかわらず、

「岸田文雄後援会」の2022年分収支報告書を作成する際に、

上記「祝う会」収入額1100万円、上記「祝う会」支出額340万円、上記321万5167円寄附金支出を、収入欄と支出欄にそれぞれ一切記載せず、

かつ、「本年の収入額」「収入総額」「支出総額」につき上記の分だけそれぞれ過少に虚偽記入し、

2023年5月29日に同収支報告書を広島県選挙管理委員会(以下「県選管」という)に提出したものである。

(2)もしも上記(1)②につき、被疑者ら全員またはそのいずれかの故意が認定できなかったとしても、当該被疑者は、重大な過失により行なったものである。

2.政治資金規正法第12条第1項は5万円を超える寄附金収入につき収支報告書の収入欄にその明細を記載することを義務づけている、

にもかかわらず、

(1)「県第一選挙区支部」の代表である被疑者岸田文雄は、同会計責任者兼事務担当者である被疑者Qと共謀の上、

2022年9月12日に受領した321万5167円の寄附者が「岸田文雄後援会」であったにもかかわらず、それを隠蔽するために、

「県第一選挙区支部」の2022年分収支報告書を作成する際に、上記義務に違反して、

上記321万5167円の寄附者が「合同任意団体」であったと虚偽記入し、

2023年5月29日に同収支報告書を県選管に提出したものである。

(2)もしも上記(1)につき、被疑者ら全員またはそのいずれかの故意が認定できなかったとしても、当該被疑者は、重大な過失により行なったものである。

 

3(「祝う会」の主催者が「合同任意団体」であった場合)

政治資金規正法は、その第22条の8第2項において、政治資金パーティーの対価の支払者に対し、対価の支払が政治資金パーティーの対価の支払である旨を書面で告知するよう主催者に義務づけ、

また、同法第18条の2第1項は、「政治団体以外の者が特定パーティーになると見込まれる政治資金パーティーを開催する場合」には、「当該政治団体以外の者」は「当該政治資金パーティーを開催しようとする時から政治団体とみなして、この章(……)の規定(これに係る罰則を含む。)を適用する」とし、「政治団体以外の者が開催する政治資金パーティーが特定パーティーになつたときも、同様とする」と定めているので、「政治団体以外の者」は総務大臣又は都道府県選管に政治団体の届出をし、同条第2項により「特定パーティー」について、その終了後3カ月以内に収支報告書を作成して総務大臣又は都道府県選管に提出することが義務づけられている、

にもかかわらず、

「合同任意団体」の事実上の代表である被疑者岸田文雄は、同名目上の代表者である被疑者P、被疑者Q、R(故人)及び「岸田後援会」の事務職員であるX(氏名不詳)と共謀の上、上記の各義務に違反して、

(1)2022年6月12日(日)午後1時から「リーガロイヤルホテル広島」(広島市中区基町6-78)「ロイヤルホール」「クリスタルホール」で「祝う会」を開催した際に、

対価の支払いが政治資金規正法上の政治資金パーティーの対価の支払いである旨、一切告知せず、

(2)「祝う会」において参加者1人あたり1万円の会費を約1100名から徴収して計1100万円(推定)の収入があり、その経費として少なくとも340万円(推定)の支出があり、また、「祝う会」の収益760万円の一部である321万5167円を2022年9月12日に「県第一選挙区支部」に対し寄附金として支出したにもかかわらず、

上記計1100万円(推定)の収入、上記340万円(推定)の支出、上記321万5167円の寄附支出を記載した収支報告書を作成・提出しなかった。

(3)もしも上記(2)につき、被疑者ら全員またはそのいずれかの故意が認定できなかったとしても、当該被疑者は、重大な過失により行なったものである。

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鈴木祐太
 

ジャーナリスト。

地方の理系大学に在学中から、被差別部落・ベトナム難民などの在日外国人の子どもたちへの支援に関わる。

小学校臨時教員、派遣社員などを経て、ネットを中心としたメディアに関わり、「政治とカネ」「子どもの貧困」などの社会問題を中心に記事を発表してい...

 
 
   
 

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