韓国の文政権、批判的な記者の個人情報を収集 “報道への圧力”はどの国・どの政権でも

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 ことし2021年1月に韓国で発足した捜査機関「高位公職者犯罪捜査処」(公捜処)が、報道機関の記者約120人の個人情報を収集していたとして、韓国で大問題になっている。文在寅(ムン・ジェイン)政権や公捜処などに批判的な報道をした記者が多く含まれているという。この中には、朝日新聞ソウル支局の記者も含まれており、朝日新聞は公捜処に事実関係を照会した。

 一連の事実は、保守系メディア・朝鮮日報の調査報道スクープで明らかにされた。『「ビッグブラザー」と化した高位公職者犯罪捜査処』と題された記事によると(「上」「下」)、公捜処は韓国の報道機関など約120人の記者を対象に、通信会社に住民登録番号や住所などを照会。弁護士らで構成する刑事訴訟法学会の会員約20人も対象になっていた。記事には、次のように記されている。

 高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が少なくとも3人の現役記者に対し、裁判所から通信令状(通信事実確認資料)の交付を受け、通話記録を入手していたことが27日までに分かった。携帯電話利用者の氏名、住所、住民登録番号などの資料提供を受ける「通信資料照会」だけでなく、公捜処が法律上捜査対象ではないジャーナリストの通話、メッセージ、発着信の記録まで入手していたことになる。この場合、該当する記者の取材源、情報提供者などの身元や活動も明かされてしまう。

 これまでに明らかになっている部分だけで、公捜処は160人余りに対し、300回以上の通信資料照会を行った。文在寅(ムン・ジェイン)政権に批判的な野党政治家、ジャーナリスト、司法関係者、教授らが主な対象とされる。このため、野党からは「公捜処が無差別的な裏調査を行った」との声が漏れる。

 朝日新聞社は、公捜処が同紙ソウル支局の韓国人現地記者の個人情報を収集していたとし、その理由や経緯を公捜処に照会。12月30日に書面で回答した。それによると、照会の理由は「裁判所の許可などによって適法に確保した被疑者の通話内訳の相手が誰かを確認するために、要請は不可避だった」という。そのうえで、詳細について公捜処は「現在捜査が進行中であるため、回答は難しい点を理解してほしい」としており、具体的な説明を避けていたという。

文在寅・韓国大統領のHPから

 

 報道に対する権力の強圧的な姿勢は、どこの国、どの政権でも起こり得る。韓国の文在寅政権でもそれが発覚したように、「権力VS報道」の関係においては、革新系か保守系かといった政権の性格分けは意味をなさないだろう。

『「ビッグブラザー」と化した高位公職者犯罪捜査処(上)』(朝鮮日報オンライン)
『記者の個人情報収集、理由・経緯の詳細は明かさず 韓国の捜査機関』(朝日新聞デジタル)

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