早くも2022年に入って1週間が経過した。例年、新聞各紙はその年の展望を見据えた企画記事などを全面に打ち出す。今年はどうだったか。在京紙を中心にざっと見てみると、「情報」「電子」「未来」をキーワードとするものが多い印象だ。
企画記事が並ぶなか、ストレートニュースで勝負したのは、読売新聞だった。1面で『米高速炉計画 日本参加へ』『「もんじゅ」技術を共有』『原子力機構など 国内活用目指す』というワシントン発のスクープ。「もんじゅ」にこだわる日本の姿勢を浮き彫りにした。
朝日新聞は『未来のデザイン』という企画記事を掲載した。初回のタイトルは『未来予想図 ともに歩もう』。人気グループのドリームズ・カム・トゥルーや、森の大切さを訴える岡山県の元村長、地域への移住者らを通して、コロナ後の未来を描こうとした。
毎日新聞の企画は『オシント新時代』である。1面には『露、ヤフコメ改ざん転載』『政府系メディアが工作か』『日本読者装い 「どうせ米は救ってくれない」』という長文記事を掲載した。
『成長の未来図』を始めたのは日本経済新聞。1面は『資本主義 創り直す』『競争→再挑戦→成長の好循環』。資本主義はもう一度輝きを取り戻すことができるのかをテーマに今後も展開していく。
産経新聞の企画は『主権回復』。元旦の1面は『「電子暗号」覇者がAI社会制す』『ビッグデータ時代の情報安全保障』というタイトル。SFにも出てきそうな話が今や現実になってきたことを示した。
『声を上げて デモのあとさき』は東京新聞。『「脱原発」叫び 強くなれた」と題する記事を1面に掲載した。2011年の東京電力福島第一原発の事故後に高まった「反原発」「脱原発」のうねりに身を投じた人のその後を追っている。
地方紙で目についたのは、京都新聞だ。ジェンダーを真正面に据えた『つなぐ Our Voices 性を考える』を展開。年末の12月30日に『ミスコン 変わる容姿重視 京の大学で』『見直しや中止 立命大・顔を隠すお面着用 「自分の個性 表現の場に」』という記事を掲載したのに続き、元旦には『辞めざるを得なかった… でも働きたい』を載せた。関連特集では取材班メンバーのプロフィルも明かされている。1人の女性記者は京都新聞社に入社した後の経験として「最初の妊娠では夜勤免除を申請すると上司に怒られた。2人目となると時短勤務を申し込む気持ちさえくじかれていた」と記している。書くほうだけでなく、これを載せた会社側の姿勢にも時代の変化が見えるような企画だった。