じめじめしたハラスメント横行 “昭和”に淀む地方議員の世界 内閣府の調査から

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ハラスメントは「議員から議員へ」だけではない。有権者から議員に対するパワハラやセクハラもある。内閣府が今回収集した実例では、「議員から議員へ」のハラスメントよりも「有権者から議員へ」のほうが、割合は多かった。

有権者から議員へのハラスメント

◆違法のおそれのある行為を迫られ 執拗に食事や交際を迫られ

・自宅に繰り返し電話をされ、「税金泥棒だ」「24時間対応できないなんて議員失格だ」と言われる。
・選挙中にプライベートな事柄(人間関係、宗教等)でネットにデマを流されたり、家族や兄弟のことで嫌がらせを受ける。
・投票したのだからと、違法のおそれのある行為等を迫られる。
・勝手に通販の注文をされ、注文していない商品が大量に届く。
・幾度にもわたり、執拗に食事の誘いや交際等を迫られる

全国市議会議長会の理事会の様子。高齢の男性ばかりが目立つ=2020年度(同会のHPから)

◆「当選させたのは俺だからキスさせろ」

・自宅の電話番号や住所等の個人情報をSNS上に無断で公開される。
・異性との交際関係等を暴露される。
・選挙活動中に支援者から体を触られたり抱きつかれたりする。
・ヌード写真や有権者本人の性生活についてメールで繰り返し送りつけられる。
・当選させたのは俺のおかげだからと無理やりキスをしたり、身体接触を求められる。
・ポスターにわいせつな内容を書き込まれる。

◆「次も立候補したいなら妊娠してる場合か」

・産休を取得したことにより、仕事をしない議員というデマを選挙中に流された。
・次の選挙にも立候補したいなら、妊娠している場合かと非難される。
・妊娠は病気じゃないから、陣痛がくる直前まで働くべきと言われる。

◆ただごとではない根腐れ感

 この実例を収集したのは、内閣府の「政治分野におけるハラスメント防止研修教材等の作成に関する検討会」の事務方である。文字通り、ハラスメントを防ぐための研修用動画を作るための会議である。パワハラ教材だけでなく、「地方議会・地方公共団体における政治分野に係る男女共同参画の推進に向けた優良取組事例集」の作成に関する議論も行うという。

 しかし、内閣府が収集した一連の実例を見ていると、根腐れ感はのっぴきならないものがある。ハラスメントに手を染め恥じぬ議員たち、ハラスメントを犯していることすら気づかぬ議員たち。彼らは何のために議員バッジを求めたのか。

■参考
『政治分野におけるハラスメント防止研修教材の作成について』(内閣府 2022年1月13日)
『“公務パワハラ列島”と化した行政職場 懲戒処分などのニュース途切れず』(フロントラインプレス 2022年1月6日)
『なぜやまぬ「介護ハラスメント」 セクハラや暴言 7割超の職員が経験』(フロントラインプレス 2020年2月20日)

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