【連続スクープ】自民党裏金でまた刑事告発/羽生田俊・参院議員、818万円の裏金を報告書に不記載/政治資金規正法違反容疑

  1. オリジナル記事

自民党安倍派(清和政策研究会)の羽生田俊・参議院議員が派閥の政治資金パーティー券収入から2018年以降、818万円のキックバック(裏金)を受けていたにもかかわらず、自身が代表を務める政治団体「俊翔会」の政治資金収支報告書にその事実を記載していなかったとして、羽生田氏と「俊翔会」の会計責任者が、政治資金規正法違反(不記載)などの疑いで刑事告発されることがわかった。

告発するのは神戸学院大の上脇博之教授。22日にも告発状を東京地検特捜部に提出する。

上脇教授は、自民党派閥の裏金事件に関する刑事告発を続けており、東京地検特捜部が捜査に乗り出すきっかけをつくった。一連の捜査は裏金事件の全容を解明したとは言い難い状況で終結したが、上脇氏は「裏金を受け取った議員が刑事罰を受けないのはおかしい」として、その後も裏金を受領した国会議員らの告発を続けている。

◆告発の内容は?

提出予定の告発状によると、「俊翔会」は安倍派のパーティー券収入の中から2018年に58万円、2019年に126万円、2020年90万円、2021年に248万円、2022年に296万円のキックバックを受けていたが、収支報告書に記載していなかった。

2024年2月2日の朝日新聞によると、羽生田氏は同紙の取材に対し、「キックバックを秘書が収支報告書外で管理し、会合など政治活動費として使った」と答えている。ところが、同年2月1日に修正された収支報告書によると、「俊翔会」が政治活動費として計上したのは、2022年の計11件・総額51万5562円分だけ(ホテルニューオータニでの会合費や他の飲食店での飲食代など)。それ以外にも人件費などを訂正したが、大半は政治活動費として使われず、「俊翔会」の繰越金となっていた。

また、安倍派から受け取った寄付(裏金)について、訂正収支報告書はその宣誓書で「寄付を受けた日につい特定することができないため記載できません」「判明した時点で訂正します」と明記しているが、現時点では訂正されていない。

羽生田氏は日本医師会の副会長だった2013年の参議院議員選挙で、日本医師連盟の組織内候補として比例区(全国区)から出馬し、初当選。その後、参院の厚生労働委員長や自民党の副幹事長などを務めている。現在2期目。

自民党の羽生田俊・参院議員(自身のHPから)

◆上脇教授「説明と訂正の内容が全く違う」

羽生田氏を刑事告発する上脇教授は、フロントラインプレスの取材に対し、次のように語った。

「安倍派からのキックバックによる寄附金収入の不記載罪などの政治資金規正法違反については、2018年分は公訴時効が完成している。そのため、羽生田議員の場合も2019年分~2022年分を刑事告発することにした。報道によると、派閥からキックバックされた寄附金収入は会合などの政治活動費に使ったとのことだったが、訂正報告を見ると、それは2022年だけであり、他の年は繰越されている。説明と訂正との間に整合性がない。東京地検は真相を解明するためにも捜査を尽くしてほしい」

◆「香典」で強制捜査なのに、巨額の「裏金」は放置?

東京地検は、同じく安倍派からのキックバックを受けていた堀井学議員(比例・北海道)の事務所などを家宅捜索した。有権者に香典を配っていたことが公職選挙法に抵触し、その原資が裏金からだったという報道がなされている。秘書が中止を進言したにもかかわらず、堀井議員の判断で配布を続けたという報道もある。

香典ですら秘書が中止を進言しているのに、それよりもはるかに巨額なパーティー券収入のキックバックについて、秘書の独断で裏金化していたという自民党の国会議員たち。その主張には多くの国民と同様、上脇教授も強い疑問を持っており、追及の手は緩めないという。

【フロントラインプレスは内部告発情報を求めています。このサイト内の contact にアクセスのうえ、情報をお寄せください】

鈴木祐太
 

ジャーナリスト。

地方の理系大学に在学中から、被差別部落・ベトナム難民などの在日外国人の子どもたちへの支援に関わる。

小学校臨時教員、派遣社員などを経て、ネットを中心としたメディアに関わり、「政治とカネ」「子どもの貧困」などの社会問題を中心に記事を発表してい...

 
 
   
 

関連記事