自由民主党東京都支部連合会(東京都連)の2023年分の政治資金収支報告書で、20万円を超えて都連の政治資金パーティー券を購入した3団体の名称や金額が記載されていなかったとして、当時の都連会長だった萩生田光一衆院議員ら関係者5人が、12月9日までに政治資金規正法違反(虚偽記載、不記載)で東京地検に刑事告発された。都連が不記載にしていた収入は合計258万円に上っている。
問題の政治資金パーティーは、東京都連が2023年1月30日に東京プリンスホテルで開いた会費2万円の「東京政経フォーラム」。これによって、東京都連は総額8586万円のパーティー券収入を得たが、若宮健嗣・元衆院議員(東京5区、2024年の選挙で落選)が代表を務める資金管理団体「若宮けんじ後援会」に販売した200万円、および、全日本不動産政治連盟東京都本部の26万円、東京行政書士政治連盟の32万円の3団体については、収支報告書の収入明細に記載していなかった。一方、パーティー券を購入した3団体は、収支報告書にパーティーを購入したと明記している。
刑事告発の対象となったのは、こうした経緯に関与したとみられる5人。萩生田氏のほか、都連の担当者2人、若宮氏と後援会の担当者。
政治資金規正法は、20万円超の政治資金パーティー券の購入者についてはその明細を報告書に記すよう義務付けている。また、同法によると、購入する側は1つのパーティーで150万円を超えた支出もできない。
この2023年分のパーティー券に関する不記載問題は、ことし11月末に2023年分の収支報告書が公開された際、朝日新聞などの報道機関が相次いで報道した。その際、都連の担当者は取材に「(政治連盟分は)各議員を窓口に個別に少額ずつ購入してもらっており、一つの団体として20万円を超えていると認識できていなかった」「収入の総額は変わらない」などと説明したという。また若宮氏の後援会は事務的なミスだったとしている(2024年11月24日、朝日新聞)。
東京都連の政治資金パーティーでは、2022年分で計476万円分の不記載が先に発覚しており、すでに今年1月と11月に東京地検に告発されている。
今回の告発をした神戸学院大学の上脇教授は「東京都連が2022年に続いて2023年も20万円超のパーティー収入明細を記載していなかったのは、自民党の派閥の裏金づくりの手口と同じ」と指摘している。
萩生田氏は、安倍派からのパーティー券収入から2728万円のキックバックを受けていたことで2024年4月に自民党から党の役職停止1年間の処分を受けた。その後、7月に行われた東京都議補選で自民党が大敗したことで、責任を取って東京都連会長を辞任している。
若宮氏は2005年に初当選し、岸田内閣で万博担当大臣や幹事長代理などを歴任した。2025年10月の総選挙では小選挙区で敗れ、比例復活もならず落選した。同11月には閣議決定により、防衛大臣補佐官に就任している。