自民党の国会議員3人が検察審査会に申し立てされる/「起訴猶予はおかしい」と/自民党裏金事件は終わらない

  1. オリジナル記事

すっかり過去の話になりかけているが、自民党の裏金事件はまだ終わっていない。

安倍派(清和政策研究会)の裏金事件に関連し、政治資金規正法違反で刑事告発されながら、起訴猶予処分となっていた国会議員3人とその政治団体の職員ら合計9人が、2月7日までに東京検察審査会に申し立てされた。

◆申し立てされた3人=簗和生氏、宮本周司氏、関芳弘氏

この国会議員は、元文部科学副大臣の簗和生氏(衆院栃木3区)、元財務大臣政務官の宮本周司氏(参院石川県選挙区)、経済産業副大臣の関芳弘氏(衆院兵庫3区)。一連の裏金事件で、東京地検は2024年12月26日に松野博一・元官房長官ら65人を一斉に不起訴処分としたが、簗和生ら3議員の不起訴理由は「嫌疑なし」や「嫌疑不十分」ではなく、「犯罪の嫌疑が証拠によって認められるものの、検察官の判断で起訴しない」という起訴猶予だった。この3議員については、安倍派から政治資金パーティーのパーティー券販売代金の一部を裏金として受け取ったことが犯罪に当たるけれども、何らかの理由で検察官が不起訴にしたということになる。

3議員のうち、簗氏は、自民党が政権を奪還した2012年に初当選したいわゆる“安倍チルドレン”の1人。2024年10月の衆院選では裏金事件の影響で自民党から公認が得られず、比例代表に重複立候補ができなかったが、小選挙区で178票差の当選を果たしていた。簗氏の政治団体が2018年以降に受け取ったキックバックは総額1746万円。その後、梁氏は「これは裏金ではない」と弁明していた。

宮本氏は、2013年の参院選比例区で初当選し、2022年の参院選で石川選挙区に鞍替えした。2018年以降5年間で受け取った裏金は1382万円だった。

関氏は、安倍派から836万円のキックバックを受け取っていたことが判明している。2024年10月の衆院選では自民党の公認は得られなかったが、小選挙区で当選。同年12月の政倫審では、裏金について安倍元総理に相談をしたと証言していた。

東京検察審査会に申し立てをした神戸学院大学教授の上脇博之氏は次のように語っている。

「東京地検は私のこれまでの刑事告発の多くを不起訴処分してきましたが、不起訴理由を開示請求したところ、会計責任者または秘書ら事務方のほとんどの不起訴理由は起訴猶予でした。これに対し、今回の議員3人は起訴猶予でした。起訴猶予とは、罪を犯したことが証拠上明らかなのに検察があえて起訴しないことを意味しています。裏金事件はいずれも故意または重過失で行われていたのですが、これら3議員については議員本人が裏金処理をしていたことが捜査で明らかになったのです。つまり、彼らは裏金について法的には事務方の責任にはできないのです」

裏金問題で関係議員を一斉に不起訴とした2024年12月の処分の際、東京地検は「元議員」となっていた菅家一郎、衛藤征士郎の2氏も起訴猶予と判断した。ただし、今回の東京検察審査会への申立に、元議員の2人は含まれていない。

鈴木祐太
 

ジャーナリスト。

地方の理系大学に在学中から、被差別部落・ベトナム難民などの在日外国人の子どもたちへの支援に関わる。

小学校臨時教員、派遣社員などを経て、ネットを中心としたメディアに関わり、「政治とカネ」「子どもの貧困」などの社会問題を中心に記事を発表してい...

 
 
   
 

関連記事